歴史が学べて紅葉も楽しめる!栃木県宇都宮市の観光スポット【車中泊女子の全国縦断記】

前回ご紹介した道の駅「うつのみや ろまんちっく村」の周辺10km圏内には、歴史を感じる観光スポットが点在しています。首都圏からたった1時間、宇都宮餃子を食べに行くだけではもったいない!?

【大谷石(おおやいし)】

栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材「大谷石」は、今からおよそ2,000万年前の火山噴出により堆積した凝灰岩の一種で、柔らかく加工がしやすいことから外壁や土蔵などの建材として古くから使用されてきました。

大谷町を中心に採掘されることから「大谷石」と呼ばれていますが、地質岩石学上の名称は「流紋岩質溶結凝灰岩」。現在も採石が続けられています。

御止山(おとめやま)や越路岩(こしじいわ)などの奇岩群、川底に凝灰岩がひろがる姿川などの景観も素晴らしいです。大山阿夫利(おおやまあふり)神社はすべて大谷石で造られており、これからの季節は大銀杏も鮮やかな黄色に色づき目を惹きます。

【大谷石地下採掘場跡・大谷資料館】
栃木県宇都宮市大谷町909
駐車場、公衆トイレ、売店、茶屋あり。

・入館料
大人 700円、小・中学生 350円、未就学のお子様 無料。
・開館時間
4月~11月 9:00〜17:00 (最終入館16:30まで)
12月~3月 9:30〜16:30 (最終入館16:00まで)
・休館日
4月~11月 無休/12月~3月 毎週火曜日(火曜日が祭日の場合は翌日休館)
年末・年始(12月26日~1月1日)

巨大地下空間になっており、当時をしのばせる道具類や手掘りの跡もそのままの姿を見学できるほか、芸術作品の展示やチャペルまであります。

場内の気温は通年で10度ほどと一定を保っていて、夏は寒いくらい涼しく、冬はほんのり暖かく感じます。ライトアップされた幻想的な空間にいると時間も忘れてしまいそうです。

多数のドラマや映画、プロモーションビデオの撮影などにも使用されており、ロケ地めぐりで来る観光客も。異空間のような場内は一見の価値ありです。なお、一脚・三脚や自撮り棒などを使用しての撮影は禁止、飲食も禁止となっています。

【大谷寺(おおやじ)】(大谷磨崖仏/国の特別史跡および重要文化財)
栃木県宇都宮市大谷町1198
宇都宮市営無料駐車場/大谷寺有料駐車場(参拝者は無料)、公衆トイレあり。

・拝観時間
夏季:4月~9月/8:30~17:00
冬季:10月~3月/9:00~16:30 ※受付は20分前に終了します
・参拝料:大人400円、中学生200円、小学生100円

大谷寺は凝灰岩層の洞穴内に建つ、日本屈指の洞窟寺院。岸壁を背に、堂々たる佇まいは圧巻です。資料館では大谷岩陰遺跡の出土物や、ご本尊であり【大谷観音】と称されている日本最古の石仏・千手観音を拝むことができます。

千手観音は凝灰岩の岩壁に彫られており、その高さは4m! 弘仁元年(810)に「弘法大師空海が千手観音を刻んでこの寺を開いた」との伝承が残っているとか。

凝灰岩という性質上、かなり風化が進んでいます。年月を重ねるごとにお姿が見えなくなっていくかも知れません。まさに諸行無常です。 ※内部は撮影禁止です。

【平和観音】
栃木県宇都宮市大谷町1174
宇都宮市営無料駐車場、公衆トイレあり。通年でいつでも自由に見ることができます。

像高26.93m、胴回り20mの巨大観音像は機械で彫ったのではなく、なんと総手彫り! 太平洋戦争の戦死者を悼み、昭和23年(1948)から6年にわたって彫られたそうです。階段で展望台まで登ると町並みを一望することができます。

国民的特撮テレビ番組『ウルトラマン80』において、この平和観音の後光で怪獣を撃退したことがあるんですって!

【長岡百穴(ながおかひゃくあな)古墳】(栃木県指定文化財)
栃木県宇都宮市長岡町373
無料駐車場、公衆トイレあり。通年でいつでも自由に見ることができます。

凝灰岩の岩肌をくりぬくように52の石室が掘られています。7世紀前半頃の横穴墓群と考えられていますが、穴の中に刻まれた地蔵菩薩像や馬頭観音像などは室町時代から江戸時代にかけて彫られたものと推定されています。各穴に色々な姿の像が彫られているので、ひとつひとつ覗いてみたくなりますね。

国道119号宇都宮環状線沿い、駐車場は時計回り(上戸祭町→関堀町方向)へ走行すると左側にあります。中央分離帯があるため反対方向からは進入できません。

周辺には瓦塚古墳、大塚古墳など大小様々な古墳が多数存在し、それらを結んだコースを【豊郷まほろばの道】と名づけてあります。全長およそ9km、所要時間は約2時間。古墳・遺跡だけでなく美術館や神社なども廻りますので、ゆっくり時間をかけてのんびり散策したいものです。

【多氣山(たげさん)不動尊】
栃木県宇都宮市田下町563
・参拝時間 8:30~16:00。駐車場、公衆トイレあり。

弘仁13年(822)、日光開山勝道上人の弟子・尊鎮法師により創建された歴史ある古刹。宇都宮氏代々の祈願所として栄え、厄除け・火難除け・商売繁盛の不動尊として今なお市民に親しまれています。

多氣山(標高376m)の中腹に位置する本堂周辺の自然林は宇都宮市の天然記念物に指定されており、春は桜、秋は紅葉の名所として知られ、多くの方が参拝がてら観光に訪れます。しんと澄みきった空気に包まれれば、身も心も癒されそうです(写真は毎年5月に行われる『大護摩火渡り祭』のときのものです。)。

北関東屈指の大都市・宇都宮で、これほど壮大な史跡や遺跡があるとは驚きでした。紅葉も同時に楽しめるのは嬉しいですね。

(松本しう周己)

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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