日本には該当車種が1台も正規導入されていなかったにも関わらず、販売台数において輸入車ナンバー1の座から降りた一因にもなったと推定されるフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン(排出ガス規制)不正問題。
大気汚染が社会問題になっている欧州を中心に、中国でもいわゆる「EVシフト」が検討されています。ボルボは、2019年以降に発売する新車をすべてマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドを含む電動化車両にするとアナウンスしています。
しかし、ボルボもハイブリッド化しながら、当面はユーロ6Cに対応できるディーゼルエンジンを長く使っていくはずで、それ以降のディーゼルエンジンの新規開発からは身を引く構えです。
「EVシフト」や「電動化車両」ともてはやされている昨今ですが、フォルクスワーゲンでは「NEDO国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」による「2030年でも内燃機関を使った車両比率はまだ85%ある」という分析結果も示しています。これはハイブリッドを含めた数値で、ほかの調査機関などの分析でも大差はないと考えていいでしょう。
10月11日、フォルクスワーゲングループジャパンは、2.0 TDI(ターボディーゼル)の日本における認証を正式取得し、いまや完全に定着している輸入車のディーゼルエンジン仕様マーケットにようやく参入すると表明しました。
最初に導入される車種はパサートTDI(セダン/ワゴン)で、日本では来年初め頃の発売予定としています。日本仕様の「2.0 TDI」には、排ガス後処理システムに「EGR(排気再循環)」、酸化触媒、SCR(尿素式選択還元触媒)、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を標準搭載。東京モーターショーでは、ワゴンのパサートヴァリアントTDIを披露する予定だそうです。
現時点ではさらなるディーゼルエンジン仕様の展開についてのアナウンスはありませんが、車種も順次拡大するはずで、ガソリン車、PHEVなど選択肢が増えるのは歓迎でしょう。
ただし、メルセデス・ベンツによるディーゼルエンジン不正疑惑などもあり、以前よりもディーゼルエンジンへの目がさらに厳しくなり、さらにはディーゼルエンジン仕様の中古価格の値崩れ(元が高すぎるとも言えますが)を指摘する向きもあるだけに、ディーゼルエンジン比率がどれだけになるのかも気になります。※写真は欧州仕様です。東京モーターショー出展車両とは異なります。
(塚田勝弘)