ホンダが半世紀以上の歴史を持つ狭山工場の閉鎖を発表。その理由とは?

ホンダが、日本国内での四輪生産体制のドラスティックな変革を発表しました。その内容は大きく2つ。 ホンダのマザー工場となっている埼玉製作所の集約と、S660やアクティを製造している八千代工業・四日市製作所の完全子会社化です。

まず、埼玉製作所については1964年に作られた狭山完成車工場と、2013年から稼働している寄居完成車工場と2か所の生産拠点がありましたが、2021年までに最新設備を持つ寄居に集約すると発表されました。すなわち、N360の生産にはじまり半世紀以上の歴史を持つ狭山の工場が閉鎖されるというわけです。

現代ではオデッセイ、ステップワゴン、フリード、ジェイド、レジェンド、アコードといった様々な車種を混流生産している狭山ですが、基本的には寄居に集約するということです。ちなみに、寄居で生産しているのはフィット、ヴェゼル、グレイス、シャトルそしてシビックといったモデル。そのまま生産を集約すると、かなり幅広い車種を生産することになりますが、自動化とフレキシビリティを追求した最新の生産設備であれば対応できるということでしょう。

もう一つの変革ポイントは、 八千代工業・四日市製作所の完全子会社化です。ホンダの四輪生産として唯一、ホンダが社外に委託しているのが八千代工業です。四日市にある工場ではS660が生産されていることでも知られていますが、少量生産にとどまるため効率化は難しい状況にあります。

そこで、ホンダから八千代工業に対して、完成車事業の譲渡に関する提案がなされました。そして、完成車生産事業の完全子会社化を検討する基本合意書を両社で締結したというわけです。

これにより四日市製作所が蓄積してきた技術や人材を活かしながら、最適な少量生産体制に進化させ、より一層の効率化を図ることが期待できるのです。また、八千代工業は燃料タンクやサンルーフといった部品事業に経営資源を集中させることができるというメリットもあります。

こうした日本における生産体制の進化は、国内向けの効率化だけが目的ではありません。電動化などの新技術に対応した生産技術を構築・標準化することで、海外の生産拠点に水平展開させることも重要なテーマとなっています。もともと、世界のマザー工場として生まれた寄居完成車工場が、集約によってその目的を果たすためにレベルアップするのが、今回の進化ポイントというわけです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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