EV伝道師・舘内端氏が3輪EVのモデルスケッチを発表。地域に根ざす特徴とは?

日本EVクラブ代表である舘内端氏は、ジャパンEVラリー白馬2017のゴール地点である長野県白馬村で行われたフォーラムで新しいEVについての提案を行いました。舘内氏の提案する新しいEVとは、フロントタイヤが2輪、リヤタイヤが1輪のいわゆるリバーストライクのスタイリングをしています。

この3輪EVは自動車メーカーが販売しているような長距離移動を目的としたEVではありません。白馬村のような地方の小さな村の中などで使うことを前提としたEVです。

3輪車は路面の状態に関わらず、フレームが路面に接しない限りすべての車輪が接地します。そしてリバーストライクとすることで転倒の危険性が減り、普通自動車免許で乗れる仕様の場合はヘルメットが不要です。3輪車には定員の規定がないとのことで、ホイールベースを延長して何名でも乗車することができるとのことで、観光地での送迎にも向いていると言われています。

EVとしてのメリットはなによりも環境に優しいということが挙げられます。さらに電費にもよりますが、100km走って60円程度のコストが見込まれているとのことなので、かなり経済的です。

1回の充電で走れる距離は50km程度を想定。万が一、電欠しても100V充電なので村内でコンセントを借りれば充電が可能で、少し充電して目的地に移動すれば問題はない…という発想です。また、後輪をキャタピラ、前輪をスキーとすることで、雪道での走行も可能となり、郵便配達など路面状況を理由に休めない業務にも適するとのことです。

さらに面白いのは、その製造方法。バッテリーやモーターなどは購入しますが、組立については村内に小さな工場で行うことで雇用の創出にも役立ちます。フレームを木製として、その土地の銘木を使うことで特徴を出すこともできる、という独自性も持たせています。

かつての名レーシングエンジニアの頭の中は、今もアイディアにあふれているようです。

(諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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