【新車】新型リーフ発表を聞いた旧型オーナーの心のボヤキ その2「新型はアレに似てる!? 旧型オーナー目線の期待とは?」

2017年9月6日に、世界に向けて行われた新型・日産リーフのワールドプレミアを皮切りに、いままさに日本中のディーラーへ試乗車が配布されているところです。私がいつもお世話になっているディーラーにも、登録前の新型リーフの試乗車がやってきました。カーライフアドバイザーさんに聞いたところ、近所のディーラーには、一店舗につき1台の試乗車を導入するそうです。販売にも力が入りますよね。

その新型リーフを間近で見た第一印象は、「デザインはずいぶん改善したなあ!」でしたが、私は気が付いてます。海外で売られている日産マイクラにそっくりなことを。

新型リーフは、ボディのプレスラインやウィンドウ、ライトやグリルなど、細かな造形はマイクラと同様にシャープに仕上げてあります。でも、ずんぐりと上側に膨らませたようなブサカワ感がちょっと出ているように見受けられます。もうあと全高を5%下げてくれたら、かっこよくなりそうだなという印象を受けました。

例えば、フォルクスワーゲンのポロとゴルフの関係のように全高は低いまま、全幅を増やしてトレッドを広げ、安定性を上げる。マイクラと新型リーフの関係があれば、ベストな関係だったと思います。

「低ルーフ化すればいいじゃん」と皆様もお考えだと思いますが、乗用車であるためには上、クルマの乗り降りのしやすさと居住性を確保する必要があります。どこで折り合いをつけるかは、技術的な課題解決だけでなく、メーカーの考え方によるトコロが多いのが現実です。

ただ、マイクラの低く見えるスタイルと比べると、あとほんの少し低ルーフ化を頑張ってほしかった、というのが本音であります。

[nextpage title=”乗り心地はどうだ?”]期待したい2つ目は、運転時のクルマの質感です。
それは、乗り心地と音振性能の両方の出来が、非常によいことが決め手です。前者は、車両重量が重たいことで、あたかも高級車のようなゆったりとしたばね上の動きになり、しっとりとした乗り心地であること。後者は、エンジンに比べて、パワートレインからの余計な振動がないために、ノイズが少なく、つねにすっきりしていること。この両者が、高いレベルでまとまっており、乗った印象は、あたかも絨毯の上を走っているかのように質感の良さを感じます。

この印象が新型リーフでも受け継いでいるか、試乗をするのを心待ちにしています。

さらに質感のキーワードでもう一つ気になるのが、e-ペダルの完成度です。
ブレーキの停止時にカックンとなり助手席の女の子にビンタされるCMでおなじみですね。

e-ペダルはニッサンだけの売りではありません。というのも、同じピュアEVであるBMW i3も同様にワンペダル操作を売りにしており、発進から停止までワンペダルでできます。ラフなアクセル操作だと加減速がぎこちなくなります。それに対し、ノートe-POWERで体感させてもらった、すーっとなめらかに減速してピタッと停止するe-ペダルの制御は、実によくできていました。ピュアEVと組み合わせた、最新版e-ペダルの完成度にはたいへん期待しています。

期待したい3つ目は、自動運転技術の熟成です。
いまやどのカンファレンスや技術展示会に行っても、自動運転、コネクティッドの2キーワードのオンパレード。自動運転はここ10年で最も盛り上がっています。

リーフのピュアEVと組み合わせた運転支援システムの改善に大変期待しています。プロパイロットシステムはこれまで、セレナ、エクストレイルと装着しており、新型リーフは3台目の適用となります。きっと運転支援システムの適合実験エンジニアも、熟練の域に達しているころでしょう。

プロパイロットシステムの出来は良いし、日産が宣伝する通りの仕事は完ぺきにこなしてくれます。新型リーフは、重心が低い(横方向の表面積が小さい)ことで、ミニバンやSUVよりも、横風に対しても強くなり、より優れた運転支援を味わえると想像すると実に楽しみです。

また、新型リーフの売りの一つ、プロパイロットパーキングは、近い未来には登場すると期待する無線充電につながる技術として期待しています。

旧型リーフオーナーは、新型リーフをみると悔しいと思う反面、旧型リーフで感じる課題が、すべて払拭していてほしいと考えます。だんだんと成長・改善していく相棒の子供を見ると、成長に役立てたような感覚で、ちょっとうれしく感じます。そうなると、EVの旨みを知った現行リーフオーナーは、もしかしたら早期の買い替えを検討するかもしれません。

今後、一般のディーラーにて試乗体験会が始まります。新型リーフが大成功を成し遂げ、いつかはスポーツタイプEVの開発へとつながる橋渡しとなるよう期待し、今日も私は、リーフのいる生活を目いっぱい楽しもうと思います。

(吉川賢一)

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この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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