2015年秋に発覚した独VWによるクリーンディーゼル車の「排ガス不正問題」。
窒素酸化物(NOx)の排出量を試験時のみ抑制する違法ソフトの搭載により、通常の走行時に規制値の約40倍ものNOxを放出していたことが判明し、全世界に大きな衝撃を与えました。
その後、欧州委員会や各国政府、民間調査機関などが実走行時のNOx排出量測定を行なった結果、VW以外の独自動車大手による不正が新たに発覚したことから欧州市場でディーゼル車離れが目立つようになりました。
独KBA(ドイツ連邦自動車局)が9月4日に発表した8月度のドイツ国内における新車(乗用車)販売台数は、25.4万台(前年同月比+3.5%)と、2ヶ月連続増となったものの、同月のディーゼル車販売台数は前年同月比で約14%減少。逆にガソリン車の販売は15%増となり、中でもEVとPHVの販売が前年同月比で2‐3倍の売上げを記録するなど、ディーゼル車からの買い替えが進んでいます。
さらに今年7月には、英・仏政府が2040年にガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する政策を打ち出し、英ロンドン市内では10月からディーゼル車の乗り入れ時に10ポンド/日(約1,500円)を課すそうで、独シュトゥットガルトでも地方裁判所が市内へのディーゼル車の乗り入れ制限を支持する判決を下したそうです。
そもそもトヨタ「プリウス」に燃費性能で後れを取った独自動車各社の対抗策が「クリーンディーゼル」戦略だった訳ですが、排ガス不正が発覚以降、欧州におけるトヨタのHV販売が本年上期(1~6月)に前年同期比+44%増となる20万台超えにまで拡大する結果に。
こうした状況を踏まえ、欧州勢が日本のHV攻勢に対し、EV化に大きく舵を切ったことから、今後は欧州市場でEVで対抗すべく、トヨタやホンダがEV開発の専門組織を立ち上げて量産化を急いでいるという訳です。
(Avanti Yasunori・画像:TOYOTA)
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【関連リンク】
ドイツ連邦自動車局(KBA)
https://www.kba.de/DE/Home/home_node.html