豊田社長は、「もっといいクルマ作りをマツダさんにフェアに評価していただきました。両社はクルマへの愛、故郷への愛が共通していると思います。クルマ(EV)を絶対にコモディティ化したくない、愛のあるクルマ作りをするということを本気で思っていることが今回の業務資本提携の根底にあります」と両社のクルマへの愛を強調。
さらに豊田社長は、米国での合弁による新工場(生産工場)設立について、トランプ大統領の年初の発言は全く関係なく、北米での最適な生産体制を見直し、需要の効果や合弁による生産体制を見直すことで生まれた結論だそうです。
北米に新設される工場は、30万台規模の生産能力の予定だそうで、両社折半出資で検討。2021年を目処に設立し、総額16億ドル前後を投資し、4000人規模の雇用を行うことを想定。
マツダは、「次の第7世代に向けて目処をつけていて、さらに北米では販売領域も変えていくところで、米国での生産が必要」と考えているそうです。現地で生産拠点を作ると言うことは現地に支えてもらうこと続け、「北米を中心としたお客様に喜んでもらえるクルマ作りをしていきたい」と語っています。
GoogleやAppleなどの異業種のプレイヤーも参入し、従来とは違ったクルマ作りが求められているいま、トヨタとマツダの業務資本提携に関して、豊田章男社長は、1000万台規模を活かしながら、両社の提携は「クルマを愛する者同士がクルマをコモディティ化したくないという想いが根底にある」と強調。
マツダの小飼雅道社長も新しいプレイヤーとの競争を強く意識しながらも「クルマ作りへの情念は誰にも負けない」という自負があると語っています。「常に技術とプロセスを進化させることで、走る喜びを先鋭化させ、小さくても際立つ独自のブランドを作る」と表明しています。
EVの課題について豊田社長は、「電池の航続距離の問題はもちろん、かつて試乗したというEVスポーツカーの体験を引き合いに出し、味付けの問題も大きく、EVはブランドの味を出すのは難しい」と表現。小飼社長も同様にEVパワートレーンの課題はもちろん、ブランドならではの走りだと表現しています。
豊田社長は、マツダのクルマ作り「Be a Driver」の現場をまさに見させていただき、前回の提携からさらにマツダへの理解が深まったとコメント。マツダの小飼社長は、トヨタのエンジニアの方の向上心、貪欲にもっといいクルマ作りをしていく、訪問度にいつも自然体で迎えていただく、素晴らしい人が集まっていらっしゃると感心しきり。
なお、今回の提携は、さらなる業務資本(株式持ち合いなど)が拡大する可能性もあるそうですが、あくまで自主独立性が基本にあり、スタートだそう。マツダもトヨタの傘下やグループ入りするのではないと強調しています。
なお、今回の共同記者会見の司会はマツダ側の小島岳二広報本部長でした。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久、塚田勝弘)