まず、レンジローバー・スポーツからチェックしていきます。試乗車はディーゼルエンジン最上級仕様の「HSE Dynamic」。258ps/600Nmという3.0Lディーゼルターボは、8ATとの組み合わせ。スポーツの名がついても本格オフロードでもあるSUVですから、スタート時に過敏に反応することはなく、スムーズに発進できます。
そこからアクセルを踏んでいくとトルクフルでディーゼルらしい美点を感じさせながら、回してもパワーが息切れする感じはなく、全長4855×全幅1985×全高1800mmという巨体を加速させます。
レンジローバー・スポーツの美点である直進安定性の高さと、イザという時の回頭性よさというバランスに秀でた点は、フロントノーズが重くなるディーゼルエンジンでも十分に確保されている印象。
また、レンジローバーのように「まるで上質な絨毯の上を走っているような」圧倒的なスムーズな乗り味ではないにしても、十分にコンフォートな乗り心地まで確保されています。21インチタイヤ(275/45R21/コンチネンタル・クロスコンタクト クロスLXスポーツ)というサイズを考えても良好といえる乗り心地。
レンジローバー・スポーツを指名する人は、乗り心地や走行安定性などの高級感だけでなく、まさしくスポーティな走りを求めていると思われますが、ディーゼルエンジンでもかったるさは無縁で、給油の手間(回数)も考えても積極的にチョイスしたいと思わせるほど。
16,480,000円という価格も性能も別格であるレンジローバー・スポーツSVR(5.0L V8スーパーチャージャー)はまさに異次元として、8,950,000円〜10,900,000円(試乗車)という3.0L V6ディーゼルターボエンジン車は、手が届く人にとっては買い得感さえ覚えるのではないでしょうか。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)