SUGOには魔物が棲む…大荒れのGT300クラスは予想外過ぎる展開に!【SUPER GT 2017】

しかし、本当の魔物はこの後に潜んでいました。SCが解除となってからわずか2周で2台が連続してコースアウト。この処理のために3回目のSC導入。先ほどの44周目でピットの混雑を避けてピットインしなかった上位のLEON、JMS、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTはまたもやアドヴァンテージを奪われ、ピットインすれば後続集団にすべて追い抜かれるという状況で魔物の洗礼を受けてしまうのです。

ここでトップに浮上したのが11号車のGAINER TANAX AMG GT3。タイヤと乾き始めの路面とのマッチングがピッタリだったとのことで、トップ浮上から急激にタイムを伸ばします。

3度目のSC明けには激しくトップを追いかけていた50号車 Ferrari 488 GT3ですが、GAINER AMGとの差が徐々に開いて行きます。しかし、3位争いをしている4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGとVivaC 86 MCの2台に対して40秒もの大差をつけていたために、淡々と周回をこなす作戦に切り替えて行きます。

ここで激しさを増してきたのが3位争い。ピットインまでは中盤以降に順位を落としていたVivaCでしたが、山下健太選手からチェンジした松井選手の猛チャージがとんでもない!ピットアウトから初音ミクとのドッグファイトは30周近くも行われ、終盤いよいよ初音ミクに襲い掛かります。64周目の第一コーナーで攻めきったVivaCは初音ミクをパス!3位に浮上。

優勝は11号車GAINER TANAX AMG GT3、2位に50号車 Ferrari 488 GT3、3位に25号車 VivaC 86 MCという順位。11号車GAINER TANAX AMG GT3は実に3年ぶりの優勝となります。GAINERのチームスタッフは「前回は魔物にやられて上位を逃しましたが、今回は完全に味方につけました」と語っています。

次戦は8月5、6日の富士スピードウェイ。真夏の3連戦でも夏休み真っ只中の灼熱のレースはどんなドラマを見せてくれるのか。目が離せません。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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