ヒートアップする発言は「ホンダを愛している」から!? フェルナンド・アロンソ大特集【F1速報×F1女子~イギリスGP号~】

7月20日(木)に「F1速報イギリスGP号」が発売されました。

今号はフェルナンド・アロンソ選手祭り! 巻頭特集「決別か?共闘か?難渋するフェルナンド・アロンソの本音」では、今シーズンのプレイバックをはじめ、誰もが気になるアロンソ選手の真意、将来、評価について詳しく書かれています。

全13ページにわたる特集は、どれもおもしろくて紹介箇所を選ぶのに一苦労でした。もう、いっそのこと全部紹介したいくらい! しかし残念ながらそれは叶わないので、各コンテンツからかいつまんで紹介しますね。

■愛するがゆえのホンダ批判

今シーズン、特にヒートアップしているように感じられるアロンソ選手のホンダ製パワーユニットへの不満。無線から「エンジン!エンジン!」と悲痛の叫びが聞こえてくると、なんとも言えない気持ちになりますよね。

こちらのコンテンツでは、様々な人、そしてアロンソ選手自身の話からその真意に迫っています。

スペインのエル・コンフィデンシャル紙の記者であるミゲル・カリカス・ラスパラスはアロンソ選手の発言を「ホンダを愛しているから」だと言います。

「フェルナンドの発言はホンダを憎んでいるのではなく、むしろホンダを愛しているからなんだ。『もっといいパワーユニットを作ってほしい』というホンダへのプレッシャーだよ。なぜなら、彼はもう一度、チャンピオンになろうと真剣に考えているからね」

そんなアロンソ選手のホンダへの愛を感じられるエピソードも紹介されていました。

実はホンダが15年にF1に復帰する際、その準備段階でホンダのパワーユニットのセッティングに対してアドバイスを行っていたのだそうです。

「ウインターテストの前にデプロイに関してどこがポイントになるのか、彼なりに重要だと思っていることを我々に教えてくれました。でも、最初は彼が言っていることが分からない部分が正直ありました。それがサーキットでマシンを走らせてくうちに、『そういうことだったのか』とか『やっぱり、彼が言っていた特性にしなくちゃいけないんだな』ということがしばしばありました。16年に向けてデプロイが大きく改善されたのは、15年シーズンを前にしたあのフェルナンドとの学習期間があったからです」(ホンダ/中村聡チーフエンジニア)

さて、アロンソ選手自身は自分の発言に対してどのように思っているのでしょうか。

「僕は事実を言っているだけだ。それはホンダに対してだけではない。もしタイヤが悪ければ、タイヤを批判するし、前にいたチームでも戦略ミスがあったりすれば、それを批判してきた。僕は勝ちたいんだ。だから、間違っているものを指摘するのは当たり前のことだ」

そして現在の心境も語ってくれています。

「今年のレギュレーション変更にすごく満足している。以前のようにコーナーを攻めることができるからね。運転していて、自分がこんなにもコンペティティブだと感じたことはかつてない。なのに、それが結果につながらない現状には正直、フラストレーションを感じるよ」

■その進化、無限大

現役No.1と言われ続けているアロンソ選手について、元F1ドライバーの5人が解説する「その進化、無限大」。

F1で通算3勝、1991年にマツダでル・マン24時間を制覇したジョニー・ハーバートはアロンソ選手のことを以下のように語っています。

「フェルナンドは、マシンに何が起きつつあるかを正確に理解できるんだ。ステアリングホイールや自分の尻の皮を通じてマシンの挙動だけではなく、タイヤが路面に対してどうなっているかも敏感に感じ取っている。エンジニアが無線でドライバーにタイヤの温度が高すぎると伝えた時には実際にはもう遅すぎるし、一度そうなってしまうと、また理想的な温度レンジに戻すのはとても難しい。タイヤをオーバーヒートさせないギリギリのところで使えるというのも、ズバ抜けたドライバーだけができることだ」

さらに続けます。

「フェルナンドはレースの展開を読むのがうまくて、自分のまわりで何が起きているかをいつも正確に把握している。ドライビングに集中しながら、頭の中の別の部分でレースについて深く考えることができるんだ。私はそうした能力を『レーシング・インテリジェンス』と呼んでいる」

この他にもデイモン・ヒル、ジャック・ビルヌーブ、アレクサンダー・ブルツ、デイビッド・クルサードが登場。プロの目から見たアロンソ選手のすごさは一体何なのか、ぜひチェックしてみてくださいね。

■閉ざされたトップ3への扉

今シーズン限りでマクラーレン・ホンダとの契約が終了するアロンソ選手ですが、この調子だと引退しちゃうかも!?と不安に思っている方、多いのではないでしょうか。

本誌によると、バクーでメルセデスのトト・ウォルフとニキ・ラウダと夕食をともにしたマネージャーのフラビオ・ブリアトーレは、メルセデスにとってアロンソ選手がいかに有益であるかを説いたものの「メルセデスがフェルナンドの加入を希望することは今後もいっさいない」と言い渡されたのだそうです。

また、古巣フェラーリに控えめなアプローチをかけるも「再びアロンソがフェラーリでレースをする可能性は1ミリもない」と完全否定。

レッドブルは独自のドライバー昇格システムを採用しているため、移籍は考えられない……ということは、やっぱり引退!?(涙)

しかし、アロンソ選手はまだ引退を考えていないようで「マクラーレン・ホンダが18年にはしっかり準備を整えてくることを期待して、おそらく来季も残留することになるだろう」と本誌は予測しています。

アロンソ選手はオーストリアGPで「18年のプランが明らかになるのは10月中だろう」と何度か口にしていたのだそう。ファンとしては一日でも早く来シーズンの行方を決めてほしいところですが、アロンソ選手を信じて待つしかないですね!

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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