インプレッサG4の走りっぷりは、ボディ剛性面でハッチバックよりも有利になるだけあって、ハンドリングの一体感はハッチバックよりも上回っています。
ライントレース性の高さや高速道路でのレーンチェンジ時などでも安心感が非常に高く、ボディがぎゅっと凝縮されている印象。インプレッサG4は、全長4625mmで、インプレッサ・スポーツの4460mmよりも165mm長くなっていますが、ほとんどそれを感じさせない身のこなしで、リヤの追従性も文句なし。
しかし、ハッチバックのスポーツと同様に課題と感じさせるのが乗り心地。新型インプレッサの乗り味に自信を示しているスバルの開発陣は「乗り心地は好評です」と胸を張りますが、低速域での微細な上下、横揺れが気になりますし、高速域に入っても驚かされるほどフラットライドになるわけではありません。
マイナーチェンジを受けたVWゴルフとインプレッサを比べると、剛性感や静粛性の高さはともにハイレベルで甲乙つけがたいところ。しかし、乗り味では新型ゴルフが従来よりも硬さの中にもしなやかさを感じさせ、人により乗り心地の「好み」の差はあるでしょうが、個人的には新型ゴルフに軍配を上げたくなります。
インプレッサもかなり健闘していますが、走りの質感という意味ではゴルフが依然Cセグメントトップにありそう。
また、パワートレーンの出来はゴルフの圧勝という印象。残念ながらインプレッサの2.0L 直噴のNAエンジンは、官能的といえるほどのドラマもなく、実用上必要十分といったところ。
逆にゴルフは、年々進化しているように思わせる7速DSGと1.4L直4ターボのパワートレーンの組み合わせは、極低速域のマナーも含めてほぼ文句のつけようのない完成度と楽しさを味わえます。
インプレッサの実力は国産車ではトップクラスでしょうが、世界トップクラスを走るゴルフと比べると、乗り味とパワートレーンの仕上がりにややまだ差があるような印象を受けます。とはいえ、価格差(インプレッサは192〜259万円、ゴルフは249万円〜)を考えると、インプレッサの健闘ぶりも大いに評価できます。
(文/写真 塚田勝弘)