一般道での自動運転をカメラだけのシンプル装備とAIでの実現を目指すホンダ【自動運転システム試乗】

ホンダが2017年6月初頭に栃木研究所で開催したメディア&ジャーナリスト向けのホンダミーティング。「高速道自動運転システム」の試乗に続いて、「AIを搭載した一般道の自動運転技術」を公開。参加者は同乗してその様子を体験しました。

実験車はアコードをベースにしたモデルで、自動運転に使われるセンサーはフロントウインドウ上部に取り付けられた3つのカメラのみです。ルーフにはシャークフィンのアンテナが追加されていますが、このアンテナは自動運転に使うのではなく、実験中のデータ取りのために使われるものとなっています。

カメラは車線の白線や停止線などだけでなく、道路脇の植栽や車道と歩道の質感や色、道路構造なども読み取って、それを人工知能が演算することで通行帯を判断しています。スタート位置で自動運転のスイッチをオンにするとあらかじめプログラムされたコースを走り始めます。

今回は停止線を認識して一時停止するようになっていましたが、将来的には標識認識と組み合わせて、停止するようにもできるとのことです。

従来方式の場合、左側の車線が見えないような状況では、右側の白線を左側車線と勘違いして、反対側の通行帯を走ってしまうことがあったそうですが、今回の実験車は左側車線が見えない状態でもさまざまな情報から通行帯の左端を判断し、センターを保持しながら走ることが可能になっています。

ドライバーがステアリング操作などをすると、自動運転から手動運転へと移行。主導権はドライバーへと移ります。スバルのアイサイトなどと同じく、非常にシンプルな機構でここまでの制御をしていることから、実用化されればコストを抑えた運転支援(将来的な自動運転)を可能にするシステムとなりそうです。

(諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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