【プジョー3008試乗 】駆動方式はなんとFF! しかしラフロード性能は高し、もはや4WDは不要なのか?

プジョー3008はSUVでありながら駆動方式は4WDではなくFFです。SUVでなくても4WDのクルマがあったり、SUVと言いながらもFFであったりと、世の中はいろいろですが、実際にラフロードを走ってみて、「おっ、これイケるねえ」と思ったのもまた事実です。

じつはSUVのスタイリングで2輪駆動というクルマは世界的にはかなりあります。4WDほどのトラクション性能(タイヤがグリップして駆動する性能)は必要ないものの、路面とのクリアランスは必要というようなときにこの方式が選ばれます。アメリカの未舗装路などでは2輪駆動のSUVが好まれる傾向にあります。対して、砂漠地帯などでは4WDのトラクション性能を欲します。

今回の3008の試乗では河原に作られたクロスカントリーコースを試乗することができました。エントリーロードは下り坂で、ここではクルマの速度を5km/h以下にコントロールするヒルディセントコントロールをテスト。上手に速度をコントロールするので、ステアリング操作に集中することができます。ただし、ヒルディセントコントロールを使っている状態でブレーキを踏むと、予想以上に急ブレーキとなってしまうことがあり、このあたりはちょっとセッティングの変更がほしいところでした。

クロカンコースは走行モードを「マッド」で行いました。ごろた石が散在するコースでも3008はしっかりと走ります。サスペションのストロークがしっかりとあるので、足がしっかりと伸びて路面をつかみます。この基本的な足まわりの設定がクロカン走行を楽にしています。さらにサスが伸びきって駆動輪が1輪しか接地していない状況でもクルマ側がブレーキをコントロールして、接地しているタイヤに駆動を伝え乗り越えて行けます。

3008は非常に高い悪路走破性を披露し、FFでの可能性の高さを感じさせてくれました。これならかなりの状況でFFでも大丈夫な予感がします。日本では3008でほとんどの状況に対応するでしょう。ただし、粘土状の泥道が続くようなアジアの山の中や、延々と続く砂漠などでは、4WDはまだまだ退役にはならないことでしょう。

(諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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