豊田合成、誘電アクチュエータ・誘電センサに利用できる主材料の独占ライセンス契約を締結

トヨタ系の自動車部品大手 豊田合成は、電気と力を変換する次世代高分子デバイス「e-Rubber」の主材料である「スライドリング マテリアル」を、誘電アクチュエータ・誘電センサの2用途に限り排他的に使用・販売できる独占ライセンス契約を、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(ASM社)との間に締結しました。

今回、豊田合成が独占ライセンス契約を締結した用途である「誘電アクチュエータ」とは、ゴム状の物質に電気を流すと、ゴム状物質から力が発生する技術で、モーターに代わる次世代の動力源としてロボットの人工筋肉などへの適用が期待されています。

一方、「誘電センサ」は、ゴム状の物質に力を加えると力を電気に変換する物質で、「柔らかさを活かした触覚・圧力センサやモーションセンサ」としての実用化が期待されていますが、アクチュエータ同様、材料の内部摩擦や耐久性などに起因する課題で、従来は実用化が困難でした。

豊田合成では「スライドリング マテリアル」について、同社の高分子分野技術と自動車部品等の開発で経験のある材料設計技術を利用して、「誘電アクチュエーター」「誘電センサー」の課題を解決し、実用化できる目途がついたということです。

豊田合成とASM社は今回の独占ライセンス契約締結で、次世代の各種ロボットや産業機器、自動車、IoTなどに対応した新デバイスとして「スライドリング マテリアル」の実用化に向けて「e-Rubber」の開発を加速させることを目指しています。

このスライドリング マテリアルは、1990年に大阪大学大学院(原田明研究室)で世界で初めて合成された「ポリロタキサン」と呼ばれるナノサイズの「ネックレス」構造の超分子によって構成される高分子材料です。その後、2000年に東京大学(伊藤耕三研究室)で、ポリロタキサンの環状分子同士を架橋させ、架橋点が自由に動く超分子ネットワークが特許化されました。ポリマー間のテンションに起因する従来の樹脂・ゴムにない電気-力変換特性を持っていることが特徴です。

今後、自動車分野をはじめロボットや医療/介護にわたる色々な分野で豊田合成から「e-Rubber」を使った新技術・新製品が登場することが楽しみです。

(山内 博・画像:豊田合成)