変速機を小型化・軽量化させ、低燃費に貢献する玉軸受をジェイテクトが新開発

光洋精工を前身とする自動車部品のジェイテクトは、自動車の変速機に搭載される「高アキシアル荷重対応低トルク玉軸受」を開発したと発表しました。

今回開発された新しい玉軸受は、ジェイテクトのLFT技術(低摩擦トルク:Low Friction Torque)を採用することで、変速機の軽量・コンパクト化を実現し、自動車の燃費向上に貢献できるとしています。

自動車の変速機(トランスミッション)には玉軸受や円すいころ軸受というベアリングが使われています。円すいころ軸受は大きな荷重を支えることができますが、玉軸受よりも抵抗が大きく損失トルクが増えるという問題があります。

そこで、変速機の円すいころ軸受をトルク損失を低減できる玉軸受に置き換えることが望まれています。

しかし、従来の深溝形玉軸受は耐アキシアル荷重性が低いため、深溝形玉軸受を変速機に採用すると軸受サイズが大きくなり、変速機が大型になってしまい、重量も増加するという問題がありました。

この問題を解決するためにジェイテクトが新開発の「高アキシアル荷重対応低トルク玉軸受」に採用した技術は、(1)軌道深さの拡大と、(2)油量制御保持器で油量を制御の2点です。

まず、軌道深さの拡大については、従来の深溝玉軸受に対しアキシアル荷重負荷側の軌道深さを拡大することで、従来の深溝玉軸受と比較して外径を10%縮小しながら、耐アキシアル荷重性を従来品比1.8倍に向上させることができました。


次に油量制御保持器で油量を制御する点については、軸受に流れる油量を制御する保持器の形状を改良。軸受内を流れる油量を制御して、軸受寿命低下や、油の攪拌によるトルク損失を低減しています。

ジェイテクでは「高アキシアル荷重対応低トルク玉軸受」を2020年には量産する計画で、自動車メーカーや変速機メーカーに販売を拡大したいとしており、数年後には変速機が一層小型・軽量化され、低燃費化が実現することが期待されます。

(山内 博・画像:ジェイテクト)