実は、準中型自動車免許登場の前にも変化がありました。それが、2007年(平成19年)6月2日に設けられた「中型自動車免許」。
それ以前は、普通自動車免許で通称「4トントラック」と呼ばれるジャンルのトラックを運転することができましたが、この改正後は新しく免許を取得した場合、おおよそ「2トントラック」までが運転できる対象となり、4トントラックに乗るには中型自動車免許が必要になりました。
そして今回の改正以降は、普通自動車免許で運転できるのは1〜1.5トン積み程度のトラックまでとなり、2トントラックに乗るには、準中型自動車免許が必要となりました。
ちなみに、中型貨物トラックである「8トントラック」は「中型自動車免許」、車輌総重量が25トンに達する大型貨物トラックの「10トントラック」は「大型自動車免許」の取得が必要です。
新設される「準中型自動車」。従来の普通自動車と中型自動車の範囲に食い込むようにして設置される車種区分なので、運転できる範囲も、上下の区分を削って割り込むかたちとなります。
詳しく見ていくと、準中型自動車の区分の範囲は、車輌総重量3.5t以上〜7.5t未満、最大積載量2t以上〜4.5t未満、乗車定員10人以下です。これは、普通自動車の上限であった車輌総重量5t未満かつ、最大積載量3t未満に食い込んでいるので、従来の普通自動車免許で運転できた車種が新しい制度の普通自動車免許では運転できず、準中型免許を取得する必要があるということです。
従来、普通免許で運転できることで、ジャンルが確立していた「2トントラック」。
「2トントラックは2トンなのに、なぜ準中型に入るの?」という疑問もあると思いますが、このジャンルのトラックは最大積載量が2t(〜3t未満)なので2トントラックと呼ばれており、2.5t前後になる車両重量を加えると車両総重量が3.5tを越え、総重量が約5t未満。新制度の普通免許では乗れなくなり、準中型自動車の範疇となるのです。
これまで普通自動車運転免許で運転できていた日野自動車のデュトロやいすゞエルフなどの「2トントラック」は車両重量が3.5トンを越えるものが多く、準中型自動車の区分に移りました。
なぜわざわざ免許をわけたのでしょう?
中型、準中型と相次いで免許区分が細分化された背景には、大型化されてきた貨物車両の死亡事故件数の増加があげられます。
このため、事故の多かった中型貨物トラックを扱う中型自動車免許が新設され、実技等、トラックの運転に適したメニューを組み込みました。しかし、免許取得可能年齢が20歳以上で免許期間が2年間とされたため、運送業に入る新人が乗ることができるトラックが限られてしまうという一面もあったのです。
そこで登場するのが今回の準中型自動車免許。この区分であれば、2トン積みの保冷車なども準中型となり、ある程度のトラックをカバーできる免許を取得できることになります。
なお、準中型自動車免許は普通自動車免許と同様に18歳以上が年齢条件。教習時間は普通自動車免許に比べ、トータルで8時限(学科1時限+技能7時限)増え、その分の受講料は増えます。
しかし、普通自動車免許を取得してから限定解除をする場合、その教習時間は14時限(学科1時限+技能13時限)となり、さらに負担が増えることになります。
ですから、新たに免許をとる場合、2トントラックなどに乗りたいならば、最初から準中型免許を狙うのをおススメします。教習所での教習車両は2トントラックです。
ただし、準中型自動車免許にはAT限定がありませんから、AT限定での免許取得を狙っている場合は、この限りではありません。