【バンコクモーターショー2017 その12】タイの自動車市場は順調に成長していく

バンコクモーターショーの主催者であるジャトロン・コモリミス事務局長にインタビューした。

Q.タイの自動車市場は回復が遅れているようだが。

A.必ずしもそのように考えてはいない。4年前のピークを超えていないが、トレンドで見れば順調な成長を遂げている。4年前にはコンパクトなエコカーを初めて買うユーザーに対し、ファーストタイマー・インセンティブがあった。それによって需要が盛り上がったので、その水準は超えていないが、トレンドとして見れば順調だ。

Q.インセンティブ政策には副作用もあったようですが。

A.大きな副作用があった。120万〜130万円程度のコンパクトカーを買うユーザーに、約30万円を支給するという政策だったから、多くのユーザーが飛びついた。しかし、残り分の大半についてローンを組んで買ったものの、支払いができなくなったユーザーも多くいた。ローン会社は通常なら3カ月の延滞でクルマを回収するところを5カ月まで待つなどの対応をしたが、それでも破綻するユーザーが多かった。

Q.回収されたクルマは中古車市場に流通しますね。

A.突然に大量のクルマが流通してきたから中古車相場が暴落するなど、いろいろな影響が出た。インセンティブ政策は一種の人気取りで、間違った政策だったと思う。

Q.もうひとつ昨年プミポン国王が死去されたことが経済にも影響を与えているようです。

A.これはないとはいえない。1年間を服喪の期間と考える人もいるので、この間は経済的にも一定の影響を受けると思う。
バンコクショーも今回はミスモーターショーのコンテストを中止した。主要な大学からアンバサダーを選出し、ショーの盛り上げに協力してもらう形にしたが、去年までとは違うものになっている。

Q.ショー会場を見ても装飾などがやや抑制された印象ですね。入場者数にも影響しそうですか。

A.ある程度抑制された形になるのは当然だと思う。ただ、ショーの入場者は前年並みの160万〜170万人程度を見込んでいる。

Q.バンコクショーはセールスショーの側面も持ちますが、販売面でも影響が出るでしょうか。

A.バンコクショーでは毎年販売台数の記録をを更新してきたが、今年の販売台数は前年並みの3万7000台程度にとどまるのではないかと見ている。多くのメーカーがこのショーの期間中に年間販売台数の1割前後を売る計画を立てている。前年並みの数字は確保できるだろう。

(村木哲郎)