地方公共団体が所有するカーコレクション「堺市BMWコレクション」とは?【堺市BMWコレクション】

大阪府堺市が所有するBMW車を中心とした「堺市ヒストリックカーコレクション」(堺市BMWコレクション)を公開するイベントが、4月22日・23日に開催されました。

現在、堺市が所有している「堺市BMWコレクション」は、もともと「カメラのドイ」創業者の土井君雄氏がドイツの工業製品に対する憧れからBMW車を収集し始めたのがはじまりです。

土井氏の趣味として収集されたBMW車のコレクションは、1990年に土井氏が亡くなった後、夫人の満里恵氏によって、新婚時代を過ごした堺市に寄贈され、堺市が管理しています。

BMWコレクションの寄贈を受けた堺市では、BMW車を中心とした名車博物館を設立しようとしましたが、この名車博物館構想は実現せず、現在は郊外の堺市竹城台倉庫という市の施設で保管されています。

「堺市BMWコレクション」は、1920年代から1980年代前半にかけて生産されたBMW車を中心に構成されており、その中には往年の最高峰スポーツ車として有名なBMW328ロードスターや、美しいスタイルを持つBMW507ロードスターが含まれています。

BMW328ロードスターは、1938年に製造された戦前のBMWを代表するスポーツモデルで、当時の2000ccエンジンとしては高出力の80psを誇り、四輪独立懸架のサスペンション、油圧ブレーキといった先進技術が盛り込まれています。今ではBMWの代名詞となったキドニーグリルと呼ばれるフロントグリルを世に広めた名車です。

BMW507ロードスターは、1958年式のV8・3200ccOHVエンジンを搭載したBMWの戦後を代表するスポーツカーで、最高速度は220km/hに達します。1957年から1959年にかけて生産された台数は252台しかない希少車です。

このような名車・希少車で構成されている「堺市BMWコレクション」は、今回のような公開イベントで展示される以外は、普段は堺市の施設で眠っていますが、BMW車のコレクションとしては、世界でも屈指のものだと言われています。

その質の高さは、昨年BMWジャパンが開催したBMW100周年の展示イベントに「堺市BMWコレクション」の一部が貸出しされたことからもうかがえます。

堺市では、今回のような公開イベントで希少な「堺市BMWコレクション」を紹介する一方、コレクションを有効に利用する事業者を公開プロポーザル方式で募集(今回の募集期間は終了)することも行っています。

我々自動車ファンとしては、土井氏の個人的な趣味ではじまった「 堺市BMWコレクション」が散逸せず、さらに発展するような、できれば動態保存される形で存続することが望まれます。

(山内 博)