長年に渡って、小柄なボディによる見た目の可愛らしさと、ゴーカートに喩えられる俊敏な走りをウリにしてきたMINI。現在でもボディサイズは比較的に小柄ではありますが、安全性能などを背景に徐々に拡大傾向にあります。
とはいえ、単にボディサイズを拡げるだけではありません。
そのボディサイズゆえにネックとなっていた実用性の向上をはじめ、質感と機能性も追求することで、プレミアムコンパクトカーの地位をより確固たるものにしています。
■MINIクロスオーバー
初代モデルが登場したときには往年のファンからボディサイズの大きさを指摘されましたが、その一方で、MINIのファッションセンスの高さはそのままに便利さを求めていた声が大きかったのも事実。
大人4人がくつろげる空間と後席用ドアに加えて、わずかに高めた車高による悪路走破性の良さやディーゼルエンジンをまとめた「MINIクロスオーバー」は、結果的に大ヒット。
今年3月に発売された新型では、その成功体験を受けて、ひと回り大きい「BMW・X1」とシャシーを共有してボディサイズをさらに拡大。また、ヘッドライトやプロポーションを角ばらせることでSUVの力強さを強調。これまで培ってきたデザインの良さを守りつつ、でも伝統に固執せず……、良い意味で吹っ切れた進化を遂げています。
■MINIクラブマン
SUVとしての進化を果たした「MINIクロスオーバー」に対して、ステーションワゴンに近いプロポーションで実用性を向上させたのが「MINIクラブマン」です。
2015年11月に発売された2代目となる現行型では、全長が290mm、全幅が115mmそれぞれ拡大したほか、後席用のドアを両側に設置。その一方、先代「MINIクラブマン」で好評だった観音開き式テールゲートは踏襲されているため、例えば、後ろのスペースが狭い場所でも荷物の積み下ろしが楽チンといったユーティリティーの高さは健在。
さらに、4WDのほか、走りを極めた仕様「John Cooper Works」も設定されています。
■MINI 5DOOR
全長と全高を高めて居住空間を拡大しただけでなく、後席用ドアをホイールアーチに沿った形状とすることで実用性を向上させたのが「MINI 5DOOR」です。
実用性では「MINIクロスオーバー」と「MINIクラブマン」には譲りますが、MINIの本家本元である3ドアモデルのプロポーションを楽しめるのが最大のポイント。また、ボディサイズの拡大も最小限に抑えられているため、その走りの軽快感も継承されています。
(今 総一郎)