BASF、インドで新工場の操業開始、排ガス触媒生産能力を2倍に大幅拡張

ドイツの総合化学会社 BASFは、同社グループの子会社でインドで触媒事業を行うBASF Catalysts India Private Limited(BASF CI)がインド・チェンナイに3年前から建設中の新排ガス触媒生産工場が操業を開始した、と発表しました。

創業を開始した新工場は47,000平方メートルの敷地規模を持ち、既存工場の代替施設となります。今回の新工場操業開始で、BASF CIの触媒生産能力が従来の2倍に大幅増強されることになります。

現在、インド国内の自動車排ガス規制は、バーラト・ステージⅣと呼ばれる規制が実施されていますが、インド政府はⅣからⅤを飛び越して大幅に規制を強化するバーラト・ステージⅥを2020年までに実施すると公表しており、BASFの新工場増強は、インドでの排ガス規制強化に伴う排ガス触媒の需要増大に対応したものとみられています。

なお、バーラトという用語は、インドの古代の英雄名に由来する言葉で、インドでは対内的にインド国家を象徴する意味で使われています。

このようにインド国内での自動車の排ガス規制が政策で大幅に強化される中で、BASF CIの新工場で生産されるのは、軽量車、重量車、および二輪車向けを網羅する全種類の排ガス触媒にわたっており、インド国内市場向けだけはなく、アセアン地域全域をにらんだ、触媒ソリューションを生産するワールドクラスの生産拠点となる模様です。

この新工場で生産される排ガス触媒の種類は、ガソリン車向けのTWC(三元触媒)、ディーゼル車向けのDOC(ディーゼル酸化触媒)はもちろん、CSF(触媒化スートフィルター)、SCR(選択接触還元)をも含んでおり、BASFの排ガス制御触媒ソリューションであるBASF EMPRO(登録商標)が生産されます。

新工場の操業開始に際してBASF取締役でアジア太平洋地域を担当するサンジブ・ガンジー氏は、

「インドをはじめアジア太平洋地域では、自動車の存在がかつてないほど重要になってきています。同時に、インド国内では自動車の現地生産が進んでいます。成長に伴う需要の増加に対応するため、私たちはBASFのアジア太平洋戦略や、「Make in India(メイク・イン・インディア)」などのインド政府が打ち出す政策に沿って、地域での現地生産ネットワークを拡大させています」

とコメントしています。

(山内 博・画像:BASF)