FRベースらしさを感じさせるジャガーF-PACEの雪上の走り

一方のジャガーF-PACE(エフ・ペイス)は、ドライのオンロードでもFRのような旋回が容易に伝わってきて、鼻先の軽さを堪能できます。

それが雪上になると圧雪された一般道でもお尻が左右に少し触れますから、先述したようにイヴォークとの差は明らか。なお、こちらもタイヤはピレリの「スコーピオン・ウインター(255/50R20)」が装着されていました。

今回の雪上試乗では、特設コースも用意されていて、こちらでは少し飛ばしながらF-PACEの走りを確認できました。走行モードを「レイン・アイス・スノー」モードに合わせると、強めにアクセルを踏んでスタートしても若干ホイールスピンをしながらスムーズに発進。「ダイナミック」モードにしても後輪がスピンしますが、スタートを決めることができます。

F-PACEのデフォルトのトルク配分は「前10:後90」で、路面状況に応じて「IDD(インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス)」と呼ぶAWDシステムがトラクションロスを予測すると、即グリップのある車輪に駆動力を配分するもので(最大で前50:後50)、100回/1秒というドライバーには察知不能なきめ細かい制御がされているそう。

こうした制御に加えて、「50:50」に近い前後重量バランスもあってコントロールのしやすさも印象的。

雪上の外周路コースでお尻が左右に振られるシーンがあっても破綻することはなく、「壁ドン」することもありませんでしたが、過信は禁物。レンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルと同じ4WDであっても、公道では万一に備えてより「取扱注意」なのが伝わってきました。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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