神戸製鋼がオールインワンでコンパクトな水素ステーションパッケージ「HyAC mini-A」の販売を開始

神戸製鋼所(神戸製鋼)は、米国の定置式水素ステーション向けに水素を圧縮するための高圧水素圧縮機、冷凍機、蓄圧器に加え、水素を燃料電池車(FCV)に充填するディスペンサーをセットにした「HyAC mini-A(ハイアック ミニ エー)」の販売を開始しました。

今回の米国向けモデル「HyAC mini-A」の特徴は、神戸製鋼が2014年から国内の水素ステーション向けに販売しているHyAC miniと比較し設置面積を10%削減させている点と、FCVへ水素を充填するディスペンサーをセットして販売する点。

さらに、①米国充填プロトコル(FCVへ充填する際の温度や圧力を制御する為の米国規格)に対応して、水素を87.5MPaまで圧縮でき、②遠隔で作動状態を監視できるモニタリングシステムを搭載し、③国内水素ステーション向けに100基以上の納入実績がある同社製品名で「DCHE」というコンパクト熱交換器を搭載している点を「HyAC mini-A」のメリットとして挙げることができます。

同社によると、国内メーカーで海外の水素ステーション向けに水素圧縮機などを販売するのは神戸製鋼が初めてで、米国カリフォルニア州にある圧縮機関連の同社子会社であるKobelco Compressors America,Inc. と協力して、拡販を進めるということです。

California Energy Commission によると、米国ではカリフォルニア州を中心に25箇所の水素ステーションが設置され、2024年までには累計100箇所以上の設置が計画されており、水素社会を実現するインフラ整備が進んでいるということです。

このような米国での水素インフラの動向に対応して、神戸製鋼の「HyAC mini-A」は国内の水素ステーション向けディスペンサーメーカーとしてはトップシェアのタツノ製のディスペンサーがセットで販売されているので、水素の圧縮からFCVへの充填までがワンパッケージで可能となり、圧縮機とディスペンサーを別々に手配する手間や現地での調整作業などが軽減される効果があります。

日本ではFCVというと乗用車が中心ですが、国土が広い米国では大型トラックの動力源を燃料電池化した大型トラックのFCV化が多く、神戸製鋼は米国で大型トラックの輸送拠点に水素ステーションのネットワークを形成することを目指していると思われます。今後、同社の水素ステーションが米国の水素インフラの中でどの程度まで広がってゆくかが
注目されます。

(山内 博・画像:神戸製鋼所)

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