ベントレーモーターズの特別注文部門であるマリナーは1559年に馬具屋としてスタートし、1900年にHJマリナーを創設します。1920年にはHJマリナーがベントレー車のボディを製造し、1959年にはロールスロイス・ベントレーに買収されます。現在はベントレー本社と同じクルーに工場を構えています。
このコンチネンタルGT V8Sムーンクラウド・エディションの発表会場には、マリナーが手掛けたベントレーの名車が展示されていました。グリーンのクルマは1950年製のベントレーマーク6スポーツサルーンです。ベントレーが初めて生産したスタンダードサルーンのシャシーにHJマリナーがオールアルミ製のスポーティかつモダンなスポーツサルーンを架装したスペシャルコーチワーク車両です。
そしてブラックが1960年製のベントレーS2コンチネンタルスポーツサルーンです。ベントレー史上初のV8エンジンを搭載したS2のスポーティ版シャシーとして用意されたのがS2コンチネンタルです。軽量なアルミボディを採用し、最高速度は時速約200kmを実現し、当時のハイウェイに君臨していました。展示された2台のベントレーはいずれもワクイミュージアムが所蔵する貴重なモデルです。
会場には特別仕様車を仕立てたマリナーの職人が製作したパーツをはじめ、多彩なペイント、レザー、ウッドパネルなどのコンビネーションの展示がなされていました。Made for you、顧客だけのベントレーを仕立ててくれるマリナーの存在こそ、目の肥えたベントレーユーザーを満足させてくれる秘訣なのかもしれません。
2016年はSUVモデルのベンテイガを導入し、日本国内の販売も過去最高を記録したベントレー。この特別仕様車のコンチネンタルGT V8Sムーンクラウド・エディションも即完売になるのは間違いないでしょう。
(萩原文博)