なお、今年はライバルのフォルクスワーゲンup! のマイナーチェンジも控えていますから輸入スモールカーを物色している人にとっては新型up!(もしくは比較的値引きが期待できそうな現行up!)とトゥインゴを比較する手もありそうです。
兄弟車であるメルセデスのsmartよりも安価な価格設定で、売る気満々という感じのトゥインゴ。こちらでもご紹介したように、1月12日から新グレード「ゼン」が加わっています。
DCTである6速EDC(エフィシェント デュアルクラッチ トランスミッション)仕様は、897ccの直列3気筒ターボとの組み合わせで、90ps/135Nmというスペック。
一方、カタログモデル化されたゼンの5MTは、998ccで直列3気筒DOHCのNAエンジンを搭載。こちらは最高出力71ps、最大トルク91Nmという数値になっています。
「MTでも良し」となると、どちらを指名するか迷う方もいそうで、私ももし購入するなら即断できないかもしれません。DCTの6速EDCは、ターボが過給するとよりパンチ力のある走りが引き出せて、首都高速道路くらいの速度域なら流れを十分にリードできます。しかし、DCTは変速の「間」が大きめで、とくに1-2、2-3速時に顕著に感じられます。
一方の5MTは、6速DCT仕様よりも同じ「ゼン」グレード同士で40kg軽く、当然ながら3ペダルMTの利点である意のままの変速操作が可能。ただし、軽快なフットワークや小気味良さは美点ながらも、こちらはスペックどおり「速い」とは言いがたく、もし高速道路も時々乗るならパワー不足を痛感するシーンもありそう。また、ペダルまわりの空間(運転席の足元)にもそれほど余裕がなく、そこに3ペダルが配されていますからやや狭く感じます。
こうなると、ターボ仕様にMTがないのか? というジレンマを抱かせますが、ルノー ジャポンでマーケティングを担当しているフレデリック・ブレン氏によると、本国にはあるターボとMTの相性が「もう少し」で、ギクシャクした走りになりがちだそう。
ならば、6速DCT仕様でキマリ! とすんなり思えないのが、パドルシフトがない点。こちらも「非常に頑張っている価格設定」からすると仕方ないとはいえ、マニュアルモードで操作できれば6速DCT仕様で決定となるのですが。
ターボとMTの組み合わせは、おそらく「GT」まで待ちでしょうから、焦らなくてもOKなのであればトゥインゴGT登場まで少しでもお金を貯めておく手もありそうです。
現状、個人的には迷ったあげく、わずか9万円の差とはいえ、171万円のゼン(5MT)に惹かれます(6速EDCは180万円)。MTのシフトフィールはごく実用的なもので決してスポーティではありませんが、クセがなく乗りやすいですし、低速域のトルク感がありエンストしにくく発進に気を使うこともありません。ヒルスタートアシストも付いていますから坂道発進も楽。久しぶりにMTに乗ってみる手もありかもしれません。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)
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