今季引退のバトン特集!フィジオからみたバトンの素顔とは?【F1速報×F1女子~アブダビGP号~】

■ジェンソン・バトンさらば素晴らしき日々

「これが僕のF1ラストレースになるだろう」。アブダビGPのFIA記者会見で、そう切り出したバトン選手。いったい何を思い、来季以降どうするつもりなのか。鈴鹿より追跡取材した一連のインタビューから、その胸中を探ります。

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──歴代チャンピオンのなかには、頂点に上り詰めたことでレースに対するモチベーションを失った例が見られます。あなたは、そんなことはなかったですか。

「それはない。コックピットに乗り込めば、僕はいつだって自分の100パーセントを出そうとしてきた。チャンピオンになってからもずっとそうだったし、戦闘力のないマシンに乗っていても同じだった。だからこそそれが結果に結びつかないと、欲求不満がたまってしまう。でも、それでモチベーションが下がることは決してない。逆に僕は自分に対して、ずっとプレッシャーを掛け続けてきた。どんな状況でも結果を出し続ける、最高の走りを披露するんだと、自分を鼓舞し続けてきた。今回レースをやめると決断した大きな理由のひとつは、そのプレッシャーに疲れたからだった。これ以上は、もう無理だ。休息したい。そう思ったんだ。」

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──あらためて伺いますが、今回の決断は難しいものでしたか。

「もちろんだよ。ドライバーが自分の将来を考える時、現役続行か完全引退か、普通はふたつにひとつしかない。17年間は、本当に長い年月だった。たとえば僕はモナコに自宅があるけど、この17年間でモナコで過ごした時間なんて、ほんの少ししかない。だからモナコに戻っても、『ああ、帰ってきた』という気持ちは、今もまったく持てずにいる。家族にしても同様だ。僕には姉が3人いて、全部で7人の子の叔父さんなんだけど、彼らの成長を少しもフォローできていない。滅多に会えなくて、みんないつのまにか大きくなってしまっている。それだけ自分のすべてをF1に捧げてきたんだ。」

■密着 これが最後?の日本GP

バトン選手は多忙なレースウィークエンドをどう過ごしているのか。ファンとしては、とっても気になるところです。

F1速報取材班は、サーキットにおいてバトン選手を最も近くでサポートしている、フィジオ(理学療法士)兼パフォーマンスコーチの「マイキー」こと、マイク・コリアーの取材に成功! バトン選手の知られざる一面を知ることができますよ。

フリー走行が行われる金曜日。サーキットに到着したら、チームホスピタリティハウスで朝食を摂るというバトン選手。

「オムレツとサラダ、そしてブラックコーヒーと水一杯。コーヒーに入っているカフェインには、運動能力を向上させる効果があることが判明しているんだ。かつては世界アンチ・ドーピング機関によって禁止されていたけど、04年にカフェインは禁止薬物のリストから除外されて積極的に摂る人も増えているから、僕も特に制限はしていない。とはいえ、一日4杯程度にするよう注意しているよ。」

ちなみにバトン選手はコーヒー以外にもイギリス人らしく紅茶もたしなむのだとか。コーヒーの時はブラックで、紅茶は砂糖入りのミルクティーなんだそうです。コーヒーも似合いますが、バトン選手×紅茶って、絵になると思いませんか!? 思わず飲んでいる姿を想像してしまいました。

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スケジュールは同じでも、金曜日と違いがあるという土曜日。

「実はF1ドライバーはレースよりも予選の前のほうが緊張感が高いんだ。だから、予選前のマッサージは気持ちをリラックスさせるために何もしゃべらないことが多い。ジェンソンが好きな音楽を掛けているか、無音だね。気が付いたら寝ていることもあるよ。」

今年の日本GPはバトン選手にとって、厳しいグランプリとなりました。それでも、バトン選手はチームスタッフと衝突するというようなことはなかったそうです。

「ジェンソンがすごいのは、常にランニングをしたり、食事の管理を自ら行うというフィジカルな面だけでなく、感情をコントロールできるという精神的な強さを兼ね備えていること。F1は個人スポーツではなく、多くのスタッフが関わっている。さらにマシンのパフォーマンスは毎年違うし、同じシーズンの中でもアップダウンがある。だから、いくら肉体的に優れていても、精神的な強さがないとやっていけない。僕らが再会した08年はジェンソンにとって厳しいシーズンだったけど、彼はサーキットを出たら、コース上のパフォーマンスを引きずったりはしなかった。終わったことは振り返らず、常に次のことを考えているんだよ。」

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ファンはもちろん、チームメイトやスタッフ、たくさんの人に愛されてきたバトン選手。ドライビングテクニックはもちろんですが、この人柄に誰もが惹かれたのかもしれませんね。

私がF1にここまでハマったのは、バトン選手のおかげと言っても過言ではありません。来季からF1にいないと思うと、心が張り裂けそうなくらい悲しいですが、新たな人生のスタートも精一杯応援します!!

(yuri)

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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