2016年に導入されたS60/V60は、S60が35台、V60が65台の計100台。11月16日時点で在庫状況は分かりませんが、台数の多いV60はまだディーラーにあるかもしれません。
最新S60/V60ポールスターの見どころは、エンジンの刷新。直列4気筒2.0ターボ+スーパーチャージャーのダブル過給器になり、従来の6気筒からボルボ自前の4気筒にダウンサイジングされたことになります。
気筒数が減っても16ps向上(最大トルクは30Nm減)し、367ps/470Nmというスペックを獲得していて、0-100km/h加速はS60が4.7秒、V60が4.8秒。従来型から0.2秒短縮されています。
また、エンジンだけでなく、トランスミッションも6ATから8ATに多段化され、ハイスペックモデルでも命題となっている燃費は、S60が12.2km/L(+2.6km/L)、V60が11.2km/L(+1.6km/L)に向上。ほかにも、新デザインアルミホイール(20インチ)の採用や「Sport+」モードも新たに用意。
足まわりは、ポールスターとオーリンズによるダンパーのほか、オーリンズの特許であるデュアルフローバルブを搭載。また、スポーティグレードの「Rデザイン」よりも80%強化されたスプリング、スタビライザーも15%強化されているほか、カウント類やブッシュも強化。
走り出すと、ポールスターによるチューニングが施された電動パワーステアリングによる適度に手応えのあるフィーリングからもスポーツモデルであることが伝わってきます。
強化されたサスペンションに加えて、245/35ZR20サイズのミシュラン「パイロット・スーパー・スポーツ」を履く乗り味も引き締まっていますが、路面が荒れていたり、目地段差が続いていたりと条件が悪い場所でも思ったより不快ではなく、日常使いでも十分に許容できる快適性が確保されているのが収穫。
動力性能はトルク減の影響をまったく感じさせず、高回転域の伸びは一般道では確認できないほど頭打ち感を抱かせません。
しかも、高速域のエンジンサウンドはなかなか迫力があり、DレンジからSレンジに入れるだけで加速感が増します。さらに停車時に先述した「Sport+」モードにすると鋭さが倍増します。
6気筒から4気筒に減ったこともあり、車両重量がS60で-50kg、V60で-20kgとなり、感覚としては主にフロントノーズの重さが軽減された印象。
それが旋回性能の高さや軽快感に現れていて、ダイナミックなパワートレーン、そして軽快感のあるフットワークという美点を生み出しています。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)