独ランクセスの「テペックス」を使用したオールプラスチック製ブレーキペダルが全米プラスチック技術者協会で受賞

ドイツの特殊化学品大手・ランクセス(LANXESS)は、同社の「テペックス(TEPEXいずれも登録商標)」を使用したオールプラスチック製のブレーキペダルが、全米プラスチック技術者協会(SPE)主催の「Automotive Award(オートモーティブ・アワード)」・「ボディー内装」部門で最優秀賞を受賞したと発表しました。

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このブレーキペダルは、ランクセスとボーグ・エラストメタル社(BOGE Elastmetall)が共同開発し、「ポルシェ パナメーラNF」と「ベントレー コンチネンタルGT」に採用されています。

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両社が共同開発したオールプラスチック製ブレーキペダルの特徴は、①スチール製と比べて重さが約半分、②多軸配向された連続繊維構造で曲げ強度とねじれ強度を向上、③量産に適した高い生産性、の3点です。

これらの特徴を実現するためにブレーキペダルの断面を内側層、外側層の2つの層に分けて、「テベックス」インサートシートの使い方を工夫しています。

まず、ブレーキペダルの骨格を形成する内側層では、積み重ねられる「テベックス」インサートシートの繊維配向を+45°/-45°方向に配列して、ブレーキペダルのねじれ強度を向上させる機能を発揮しています。

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次の内側層の上に形成される外側層では、積み重ねられる「テベックス」インサートシートの繊維配向を同じ方向に揃えて、ブレーキペダルの張力や曲げ強度を向上させるようになっています。

このように「テベック」繊維を積層して構成されたブレーキペダルの量産性を向上させるために、成形工程では最短のサイクル時間で成形できるワンショットハイブリッド成形工程を採用しています。

この工程では、ブレーキペダルの形に形成された「テペックス」インサートシートを、60%のガラス短繊維で強化されたランクセスのポリアミド6繊維である「デュレタンBKV 60 H2.0(DurethanBKV 60 H2.0、いずれも登録商標)」を素材として射出成形されています。

このようにして製造されたオールプラスチック製ブレーキペダルは、表面の透明なプラスチック層を通して透視できる連続ガラス繊維の完璧で規則的なパターンが外観の特徴となっています。

オールプラスチック製ブレーキペダルは、今のところ高価格の高級車に採用されはじめたばかりですが、スチール製の約半分という軽量化の効果を考えると、今後大衆車にも採用が広がることが予想されます。

(山内 博・画像:ランクセス)