まずは、そのルックス。高剛性の押出成形アルミ材を中心とした複数素材によるスペースフレームをもつボディは、全長:4490mm×全幅:1940mm×全高:1215mmとワイド&ロー。ただ停まっているだけでボディを撫でる風が見えるようで、空力に愛されていることが伝わってきます。
さらに、6つのLEDが輝く切れ目のヘッドライトが放つ只ならぬ雰囲気は、なんというか、ワタクシの知るホンダ車らしくない。
着座位置の低いシートに腰を下ろして眺めるインテリアも、センターコンソールに置かれたダイヤルやシフトセレクターなどが独創的かつ戦闘的。ワタクシの知るホンダ車のインテリアは、もっとこう……遊び心にあふれたアイデア収納が目立っていたような気が。
しかし、ステアリング外周から250mmの範囲にスイッチ類を配置することで操作性を確保したり、エアコンやナビゲーションは表示と操作性だけでなく質感までも慣れ親しんだものとするなど、あくまで実用性重視であることに変わりはないようです。
次いでエンジンを掛けると、背中に積んだ3.5L V6ツインターボが迫力のあるサウンドを一発轟かせますが、動力はすぐさまモーターへバトンタッチして、獰猛な唸り声の代わりに電子的な音が車内を満たします。
前輪に2個、後輪に1個のモーターを搭載する駆動システム「SPORT HYBRID SH-AWD」や9速DCTといったメカニズム全体の連携がとにかく滑らかでスイスイと動き、この自然さがかえって不気味に思えますが、同時に技術の開発と研鑽がなければなし得ない業であることも十分伝わってきます。