北米市場への輸出に有利なメキシコに自動車メーカーが次々に進出していますが、アウディも北米初の自動車組み立て工場を開設しました。
アウディはプエブラ州サンホセ チアパスに立地するメキシコ新工場に10億ドル以上を投資して、従業員数4,200名、生産能力年15万台の生産拠点を持つことになります。
アウディの取締役会会長のルパート・シュタートラー氏は「メキシコ工場の開設は、我々の会社の歴史におけるマイルストーンであり、国際化を推進するアウディにとって、大きなステップといえます。これは、アメリカ大陸におけるもっとも近代的な工場のひとつです。アウディは、この生産設備により、世界中のお客様に製品を供給する重要な拠点を確立することができました」と述べて、50ヶ国以上の国々と合計12の自由貿易協定を結んでいるメキシコに新工場を開設する意義を強調しました。
アウディは工場の建設でバーチャル・テクノロジーを駆使したことも注目されます。
同社はバーチャル・テクノロジーによって様々な分野の設計者が工場の設計段階で、完成後の工場の様子を検討して工期を短縮できたとしています。実際、アウディは敷地面積400ヘクタールの規模のプレス工場、ボディ工場、塗装工場、及び組み立てラインを完備した自動車工場を、わずか3年半という短期間で建設し、従来と比べて30パーセントも早く工場の操業を開始できたということです。
もうひとつの新工場の特長は、工場敷地に隣接して、同社がサプライヤーパークと呼ぶ、協力メーカーの施設を集めたエリアを設けていることです。
このサプライヤーパークでは、部品メーカーと物流会社の7社が、Audi Q5の生産スタートに合わせてすでに操業を開始しています。
同社では、このような新工場の生産環境を「JIS(ジャスト イン シーケンス)パーク」と名付けて、部品メーカーの工場と完成車の組み立てラインが短い距離で結ばれていることを強調しています。
アウディは新工場が生産を開始の時点で、すでに新型Q5の部品の70パーセント以上をNAFTA(北米自由貿易協定)地域から調達して高い現地調達比率を達成していますが、さらにその比率を増やしていくことを計画しています。
メキシコ新工場で生産される「Audi Q5」は、現在までに世界中で160万台が販売され、中国とインドでもそれぞれ現地での生産が継続されているアウディの世界戦略車で、今後の「Audi Q5」の販売動向が注目されます。
(山内 博・画像:アウディ)