スバル水平対向エンジン50年の歩みとプラットフォーム進化の歴史【前編】

EA型からEJ型へと大きく進化したときの印象が強く、EA型は時代遅れのエンジンというイメージもありましたが、ボクサーエンジンの始祖といえるSUBARU 1000に乗って、そうした思いは覆されます。

当時、会社としての売上に匹敵するほど多額の開発費を投じたというSUBARU 1000のOHVエンジンは、生産から半世紀近くが経ったいまでもスムースに回っています。

恥ずかしながら、アイドリングしている状態からセルモーターを回そうとカギに手をかけそうになったほどキャビンは静かだったのです。アイドリングでボンネットを開けてもエンジンがブルブルと震えている様子はありません。

subaruhistory0028low

さらに驚いたのは、SUBARU 1000の乗り心地。当時の日本国内の事情を考えれば当然ですが、未舗装路を前提としたサスペンションは豊かなストロークがあります。

また、横幅の広い水平対向エンジンをフロントに搭載しながらサスペンションのスペースを確保するためにセンターピボットのウィッシュボーン・サスペンションをフロントに採用したこともあり、ハンドリングも素直で現在のレベルで見ても、大きな不満は感じないものだったのです。

最初に生み出した乗用車が、これほど高いレベルでまとまっていたことは本当に驚きでした。

ただ、ここから順調に発展したわけではなかったようです。

【後編】へつづく。

(写真:SUBARU/YsPlanning 文:山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる