さて、荷室下の奥、後席直後に49°寝かせて(傾けて)搭載されたRR(ミッドシップに近い)採用する新型ルノー トゥインゴ。
まさに、メルセデス・ベンツでお馴染みのスマートに打って付けといえるレイアウトですが、「新型スマートありきで」で新型トゥインゴが開発されたわけではなく、当初からRRレイアウトで行くという決断があったそうです。
ルノー・日産連合とダイムラーの提携が活用され、新型スマートにもこのレイアウトが使われることになり、スケールメリットも享受できたというのが真相のようです。
さて、0.9Lターボ+6速DCTの組み合わせになる新型トゥインゴの走りは、見た目を裏切らない小気味よい走りが美点です。
ルーテシアやキャプチャー、カングーなどルノー車でお馴染みの6速DCT(6速EDC)はゲトラグ製。変速時にアクセルを戻してあげるなど、スムーズな変速には多少のコツがいりますが、3ペダルMTやシングルクラッチなどの経験者であればすぐに慣れるはず。
逆にトルコン付ATやCVTしか乗ったことのない人には、2ペダル車とはいえ、変速時の「間」がギクシャクとしたものに感じるかもしれません。
中低速域のトルク感や高速域の伸びなど、ターボ付とはいえ900ccに満たない排気量のキャパも感じさせますし、ターボラグも最近にしては大きめという印象。
それでも、首都高速程度ならフロアにあるシフトレバーをマニュアル操作させることで流れをリードできます。パドルシフトが欲しくなりますが、そうなると189万円(キャンバストップは199万円)という価格設定はできなかったでしょう。
乗り心地も「軽快」といえるもので、3.6m超の全長と2500mmに満たないホイールベース、1t程度の車両重量により少し跳ねるようなシーンもありますが、こうした条件の割にはよくまとめられています。
なお、日本向けは全高を1545mmに抑えるため(立体駐車場対策)スポーツサスペンション仕様を導入。その割には乗り心地も犠牲になっていない感じがします。
フロントノーズにエンジンがないため、タイヤの切れ角を大きくできるのもあって最小回転半径はわずか4.3m。
全幅は1650mmと軽自動車よりも170mmワイドになっているものの、狭い住宅街でもスイスイとクリアできますから、取り回しのストレスもほとんど感じさせません。
日本人の平均的な体型であれば大人4人でも短時間なら移動できますし、小さな子どもが2人いても使えそう。セカンドカーとしてだけでなく、ファーストカーとしても頼りになる相棒になってくれるはずです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)