試乗車は直噴化された2.0Lのみで、駆動方式はAWD。17インチと18インチを2回ずつ交互に乗り比べたほか、比較のため現行ハッチバックを1回試乗しました。
タイヤサイズを問わず最大の驚きは、「よく曲がり、乗り心地も良いこと」。コーナーの出口が見えない、回り込むようなコーナーでもグイグイと曲がっていきます。
新プラットフォームによりボディ剛性が向上しているだけでなく、前後のバランスの良さも明らか。ボディの傾き(ロール)の少なさや、ロールの出方も急にグラリとするものではなく、ステアリングを戻してからの揺り戻しも抑制されています。リヤスタビを車体に取り付けるという手間を踏んだ価値は大。
乗り心地に関しては、クローズドコースなので参考程度ではあるものの、十分以上に快適。スバルのA型は、車種を問わず傾向として硬いことが多いのですが、これなら欧州Cセグメント車と比べてもトップクラスといえます。
17インチと18インチとでは、燃費(転がり性能)重視の前者の方が当たりがマイルドで、グリップやウェット、ブレーキ性能などを主に重視したという後者はコーナーでより踏ん張る感じもありますが、とくに中低速域の微小な突き上げも感じられました。
直噴化された2.0LエンジンとCVTであるリニアトロニックの改良も想像以上の完成度で、同コースで感じたのは立ち上がりの鋭さ。そのエンジンは、軽量化や直噴化をはじめ、圧縮比向上、タンブル強化やフリクションの低減などが盛り込まれています。
CVTのリニアトロニックは、トルコンを6.8kg(オイル込み)減とすることでイナーシャを58%減、フロントデフの溶接化(下の写真。左が新型、右が現行用)で1kgの軽量化などが盛り込まれているのと、最近スバルが採り入れているオートステップ変速もスムーズな走りに貢献しているのは間違いないでしょう。
「よく曲がるのに、ふらつかない」、「乗り心地もいい」というクルマはひとつ上のDセグメント車などにもあります。しかし、Cセグメントでは国産、輸入車を問わず、現時点で最高レベルの仕上がりといえます。
(文/塚田勝弘 写真/前田惠介、塚田勝弘)