前回は小魚カーでしたが、今回は、大物クルマ、造った人たちです。
シボレー・”コルベット”はGMジャパンの公称、アメリカでは”コーヴェット”と発音して下さい。相手がエンシューでしたら、”ヴェット”で通じます。コルベットとは小型快速護衛艦ですが、いまやスポーツカーの方が有名です。
1953年に初代が発売されましたが、間もなくGMはワークスレース活動禁令を出しました。58年にGM2代目デザイン役員となったウイリアム・L・”ビル”ミッチェルは一計を案じ、開発中のXP-87プロトタイプを”ミッチェル・スティング・レイ(「スティングレイ」と繋げず、初期は2語)・レーサー”と名付け、1959年、自費でメリーランド州のレースに名ドライバーに託して参戦し、見事4位でフィニッシュしました。60年まで活動を続けました。
スティングレイ(1語)は赤エイの一種で、長い1−2本の尾に毒針を秘めています。
ビル・ミッチェルとは70年代、同じ趣味の高性能バイクが縁で知己を得ました。といっても、彼は最新モデル、それも独自カスタマイジングを7、8台、私は手頃な価格車1台の格差でしたが、よくデトロイト北方のデザイン・センターと所外の秘密基地を訪問したものです。
ミッチェルの腹心で、コルベットと数種のスポーツカー・コンセプトをデザインしたのが日系二世ラリー・シノダです。2代目、3代目コルベットは、シノダ作品でした。
1961年2代目C2 (数字は世代)は、明らかにミッチェル・スティング・レイ・レーサーをイメージしたデザインです。名前もコルベット・”スティング・レイ(2語)”です。エイの尻尾を意図した2分割リアウインドウについては、賛否両論が出ました。コルベットの育ての親となるアーカス-ダントフは否定派で、またオーナーからも後方視界を狭めるとの声が出て、マイナーチェンジでワンピースとなります。いまや、2分割の方が蒐集家垂涎の的となっています。