ポドランセック選手は、チャレンジャークラスからの昇格にあたり、室屋選手から引き継いだ機体を「サムライ魂を受け継いだ」と云って使うスロベニアのサムライ。
実は、これコースをイメージするだけでなく、「力を入れるタイミング」を身体に叩き込んでいるとのことでした。
旋回開始の直後、特に下方向に血液が動く事でブラックアウト(Gにより血液が下肢に移動、脳に十分な酸素供給ができなくなる貧血に近い状態)という症状が発生します。
最悪意識を失う事もあり、ジェット戦闘機のパイロットは耐Gスーツという装備で症状発生を抑制します。
が、競技用のエアレーサーにそんな装備はありません。そのため、筋肉に力を入れる事で血管を収縮/血流を抑制し、ブラックアウトの発生を抑えます。
旋回直前に筋肉に力を入れ、ブラックアウトを発生させず旋回を行うシミュレーションをポドランセック選手は、人目を憚らず繰り返し行い、勝利への意欲を見せていました。
残念ながら今回は、天候の影響で全体で最初のフライトという不利を被った上に、突風によるパイロンヒットのペナルティも重なり、ラウンド・オブ・14で敗退したポドランセック選手。
ルーキーイヤーの2戦目にシュピールベルクでポイントを獲得する快挙を挙げています。ただ、この時は緒戦の対戦相手ベラルデ選手の失格にも助けられたもの。次は「タイムでの勝利」を見せて欲しいですね。
(川崎BASE Photo Y.kanoh)