●国が定める規定と異なる測定方法について
「現在、販売されている16車種について走行抵抗の測定状況を確認したところ、申請時には、惰行法により実測したデータではなく、惰行法実測値と比較して妥当性をみた上で、タイヤ、ブレーキ、トランスミッションなどの装置ごとの転がり抵抗の実測値や風洞試験装置での空気抵抗の実測値を積み上げた走行抵 抗値を使用していたことが判明いたしました」
少し分かりにくいですが、惰行法による実測値ではなく、計算された机上の数値ということでしょうか。
●国土交通省が定める規定と異なった取り扱いになった原因については、
「当社が所有する相良テストコースは、海に近く丘の上にあることから風の影響を著しく受けるなど、天候に左右されるため試験が困難であったことが背景にあると考えております。
昨今の低燃費技術の向上に伴う転がり抵抗の低下や車体の軽量化により、風による影響を受けやすくなってきており、測定結果のばらつきが大きくなる傾向にあります。例えば、低転がりタイヤを採用する場合に、その効果をばらつきなく把握することが難しく、データを取得するためには、何度も繰り返し測定を行う必要がありました
天候によるばらつきなどを排除するためとしていますが、どのテストコースも多かれ少なかれ天候による差が出てくるのではないでしょうか。
●最も気になる燃費値などへの影響については、
「今回、すでに持っている惰行法による実測データに加えて、惰行法による実測データを追加取得し、すべての申請値と惰行法実測値の関係を改めて検証した結果、すべての申請値が惰行法による実測値の測定誤差の範囲内であることを確認いたしました。
申請した走行抵抗値及びそれにより測定した燃費値については修正の必要はないと考えております。また、排出ガス性能についても、保安基準に適合しており、問題はないと考えております」
走行抵抗値を各メーカーに丸投げしている国土交通省の問題点も感じさせますが、スズキの報告にたいして同省が測定しなおすのか気になるところです。
【調査対象車種16車種】
<軽自動車>
アルト(2014年12月22日発売)
アルト ラパン(2015年6月3日発売)
ワゴンR(2012年9月19日発売)
ハスラー(2014年1月8日発売)
スペーシア(2013年3月15日発売)
エブリイ(2015年2月18日発売)
キャリイ(2013年9月20日発売)
ジムニー(2010年JC08対応)<登録車>
ソリオ(2015年8月26日発売)
イグニス(2016年2月18日発売)
バレーノ(2016年3月9日発売)
SX4 S-CROSS(2015年2月19日発売)
スイフト(2010年9月18日発売)
エスクード2.4(2012年JC08対応)
エスクード(2015年10月15日発売)
ジムニーシエラ(2010年JC08対応)
海外については同件は関係なく、業績予想に与える影響については、現時点ではないと判断しているとのこと。なお、今後、業績予想の修正が必要とされる場合には、速やかに開示するとしています。
(塚田勝弘)