さらに、三菱自動車工業においては、日本国内の法規で定められた「惰行法」による走行抵抗の計測は行なわれていなかったと思わせる発表もされました。その経緯を以下に引用します。
(1)1991年、道路運送車両法により走行抵抗の測定法が「惰行法」と指定されたが、当社ではそれと異なる「高速惰行法」で国内向け車両の計測を始めた。
(2)1992年1月、走行抵抗から惰行時間を逆算する計算法が作られた。
(3)2001年1月、「惰行法」と「高速惰行法」の比較試験を実施し、最大2.3%の差にとどまることを確認。
(4)2007年2月、試験マニュアルにより、「DOM(国内)はTRIAS(「惰行法」)」と追記改定したが、以降も「高速惰行法」を継続して使用していた。
この発表は、国内で必要とされる「惰行法」による計測を行なっていなかったとも読み取れます。つまり、軽自動車の燃費目標を達成するためのインチキではなく、法規が定められたときから守ることがなかったと捉えることもできるでしょう。
日産自動車は同社WEBサイトにて、デイズとデイズルークスの販売停止に関する『お詫びとお知らせ』を出した後は、公式なアナウンスはありません。
不正な計測方法が1991年から続いていたとなると三菱自動車工業の社内的な問題が大きく、日産は静観するほかないということでしょうか。
また、1991年から不正行為が続いていたとすると、2000年から5年間ほど提携を結んでいたダイムラークライスラー(当時)の品質管理の目もかいくぐったということになります。
今回の発表は、ひとまずの報告に基づいたもの。検事経験者などによる特別調査委員会による徹底的な調査結果が待たれます。
(山本晋也)
【関連リンク】
三菱自動車工業・当社製車両の燃費試験における不正行為に係わる国土交通省への報告について
http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2016/news/detailg427.html