4WDの設定や180mmの最低地上高による高い機動性が特徴ですが、冒頭で紹介した燃費は、パッソの19.0km/L〜27.6km/Lと比較しても最高値では若干上回っています。
さらに、同じ1.3Lエンジン(2WD)で比べると、イグニスの28.0km/Lに対してパッソは19.0km/L。
ただし、モデル末期と思われるパッソは次期型で大きく燃費を伸ばしてくると予想されますので、「スモールカーで燃費最重視」という条件であれば、新型パッソ待ちという手もあるでしょう。
イグニスは燃費や機動性の高さ以外にも、良好な使い勝手や安全装備の充実ぶりも見逃せません。
後席は左右別々にスライドするだけでなく、背もたれの前倒しが可能。しかもスライドとリクライニングレバーが背もたれ上部に用意されているため、荷室側から容易に荷室の拡大ができます。
このクラスは、エントリーグレードになると後席一体可倒式になるケースもありますが、イグニスは中間グレード以上が5:5分割可倒式、下位グレードは6:4分割可倒式なので、「3名乗車+多めの荷物」というアレンジも可能。また、中間グレード以上には大きめのサブトランクも用意されています。
安全装備では、デュアルカメラブレーキサポートを採用する「セーフティパッケージ装着車」の設定も見逃せません。約5〜約100km/hで作動する前方衝突警報機能は、車両や歩行者を検知し、衝突の回避もしくは被害軽減を図るもの。
ほかの方式、たとえば「Toyota Safety Sense C」は、レーザーレーダー(赤外線)と単眼カメラを組み合わせ、約10〜80km/hで自動ブレーキの作動条件で、先行車との相対速度が30km/h以内であれば衝突回避もしくは被害軽減を図るという内容になっています。「Toyota Safety Sense C」だと80km/h以上の高速域(高速道路)では作動条件からも外れてしまいます。
ライバル車となりそうな他車をみてみると、日産・マーチは未設定、ノートに80km/h以下で作動する「エマージェンシーブレーキ」を設定、ホンダは軽自動車に多い30km/h以下で作動する「シティブレーキアクティブシステム」をフィットに設定していますが、「ホンダ・センシング」はまだフィットには用意されていません。
イグニスはほかにも、誤発進抑制機能(前進時のみ)、車線逸脱警報機能(警報、注意表示のみ)、ふらつき警報機能(警報、注意表示のみ)、先行車発進お知らせ機能も搭載。
贅沢をいえば誤発進抑制機能は後進時も、車線逸脱警報機能とふらつき警報機能に車線維持機能が用意されるとベターですが、現時点でもコンパクトカーでは最先端の安全装備が用意されています。
(文/写真 塚田勝弘)