通常のコモンレールシステムは、1つのエンジンに1つの圧力センサーが搭載されているのに対し、「i-ARTテクノロジー」は各シリンダーごとに圧力センサーが搭載されていて、10万分の1秒という緻密な燃料噴射制御を可能とする技術。
これにより、燃費を向上させているだけでなく、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)なしで排出ガス規制をクリアできるなどの利点があります。
さらに、スムーズな変速フィールに加えて、1速約1200rpmからロックアップ制御が可能で高効率を誇るアイシンAW製スポーツモード付8速ATを採用するなど、日本メーカーの技術も採用されています。
2.0Lの直列4気筒ターボディーゼルエンジンは、190ps/400Nmというアウトプットで、現在ではこのV40からXC60までカバーされていますし、2.0Lの直列4気筒で出力を高めた「D5」が2016年の目玉であるXC90にも用意されています。
V40の車両重量は仕様により異なりますが、1550kg前後で、XC60は1800kgに達することからも分かるように、軽くて小さいV40なら動力性能は十二分以上といえる実力の持ち主。
今回試乗した「V40 D4 R-DESIGN」は、ROMチューンの「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」がすでに書き込まれていて、190psから200psに、400Nmから440Nmにアップデートされている車両。
なお、「V40 D4 R-DESIGN」には、2016年1月初旬限定で、同パッケージ(19万8000円)が無償プレゼントされています。
16ps/40Nmの出力、トルクの向上は、単体での試乗だとその差を実感するのは難しそうですが、アクセルレスポンスやシフトスピードなどの改善も図られていて、切れ味鋭い走りを実感できます。
従来の「D4」搭載のボルボV40も十二分にトルクフルといえる、ディーゼルらしい動力性能でしたが、一枚も二枚も鋭い切れ味を得ているパワートレーンといえます。
「R-DESIGN」は、シャーシも強化されていますが、専用スポーツサスペンションのスプリングは、V40導入時の「ダイナミックシャーシ」よりもフロント+10%、リヤ+7%となっているだけあってかなり引き締まったもの。
舗装路でも路面が悪いと速度域を問わず、横揺れも突き上げ感も大きめですが、救われるのはボディの剛性感が高く、シートそのものやシートの立て付けもいいですから、かなり減衰されて伝わってくる印象。
V40のフットワークは元々良好なだけに、トルクフルでしかもレスポンスのいいパワートレーンの恩恵で、「ディーゼルスポーツハッチ」と名乗れる走りは、引き締まった乗り味も個性といえる範囲に収まっているといえそう。
V40 D4 R-DESIGNは、数あるCセグメント車でもライバル不在の、魅力的なモデルに仕上がっています。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)
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