数々の専用パーツが装備されている「S60/V60 POLESTAR」ですが、ここでは走りの印象をお届けします。ボルボは「Drive-E」と呼ぶパワートレーン戦略により、今後4気筒以上は作らないと宣言しており、最後の6気筒の直列6気筒ターボを搭載。
ボルグワーナー製ツインスクロールターボ、専用インタークーラーにより350ps/5250rpm、500Nm/3000-4750rpmというアウトプットを誇り、6ATが組み合わされています。
同車の6ATは、いまや8AT、9ATも出ているトレンドからすると物足りないように思えますが、Sモードにするとシフトチェンジがかなりクイックになり、レスポンスも劇的に向上。
デュアルタイプのテールパイプには、電子制御エキゾーストフラップが装備されていますが、Sモード時は両方ともオープンになります(Dモード時は4000rpmを超えると右側が開く)。
今回、主に試乗した箱根ターンパイクには打ってつけの仕様で、コーナー手前でアクセルをオフにすると高回転をキープする「カーブホールド」も用意されています。
試乗V60 POLESTARは、S60の同仕様よりも30kg重く、全長は同じでもワゴンということもあってかライトウェイトスポーツのような軽快感ではなく、圧倒的なトルク感とパワーによりグイグイと加速していく重量級の速さといえるもの。
それでもコーナーの大小を問わず、ライントレース性の高さは見た目以上で、正確なコーナリングを披露してくれます。
駆動方式は電子制御式AWDで、横滑り防止装置のESCをオフすると横G発生時や発進時により多くのトルクをリヤに配分するなどの制御になり、腕に覚えのある方の要望にも応える仕掛けもあります。
乗り心地はかなり引き締まったもので、街中では大きめの突き上げや左右に揺すられるようなシーンも多いですが、ボディの剛性感が高いため、いつまでも揺れが収束しないという、情けないことにはもちろんなりません。
オーリンズ製のダンパーは、スポーティグレードの「R-Design」よりも80%高められたスプリングレート、15%強化された専用スタビライザーなどのほか、マウントとブッシュの強化、カーボンファイバー製ストラットバーを装備。
さらに、マニュアルで30段階の設定が可能な「Dual Flow Valve」により、サーキット走行などで任意に調整ができるようになっています。
同仕様でサーキットを走る人は少数派かもしれませんが、サーキット走行から、日常使いでも許容する乗り心地を確保。
オフタイムにロングツーリングやワインディングで走りを楽しむのに最適で、手にできる方が羨ましく感じます。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)