2009年の『ヒュンダイMY BABY』は、明るく真っ白な独立展示場でした。2年後の第2回の準備期、ヒュンダイ研究開発担当副会長、ヤン博士は「せっかくデザイナーたちが身魂こめてつくった未来モデルなのだから、それにふさわしい会場にするべきではないか」と命じたそうです。内外ともに美術館をイメージした造りになりました。
2011年は、韓国、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インド、日本のデザインセンターが応募し、27点が選ばれ、モデル製作をしました。テーマは、『大地、水、宇宙』でした。
やはり、自動車メーカーで、1台はモーターショーのコンセプトモデルのようなフルサイズ・モックアップでした。
アメリカ発の“モービル・シンセシス”、移動統合車は自律走行、人の運転対応です。愛嬌のある顔つきのクルマです。
その他、大小いくつかを紹介しましょう。
○ 最大級はヨーロッパ・デザイナーの2682年に地球連合と3つの新太陽系を結ぶ定期路線宇宙船で、「いわば宇宙のQE2豪華客船」だそうです。全長3685、全幅1025、全高575、長さの単位はもちろんメーターです。乗客5642人、乗組員1587人です。船名は、ずばり“ジェネシス”、ヒュンダイの上級モデル名ですが、最近、レクサス、インフィニティのようなブランドとして独立する計画を発表しています。
○ 日本センター宇宙船コンセプトは、芸術的なガラス彫刻風モデルでした。
○ インド・デザイナーの海洋探索艇です。地球も資源がとぼしくなり、深海に求めます。
○ 陸上が住みづらくなった方たちには、親子クラゲ型住宅と浮遊艇はいかがでしょう。
○ 積極的に環境改善をするヨーロッパの大気浄化システム。機械とオリーブ樹のキメラとでもいいましょうか。
○ 大勢がプライベートに移動するベクタースラストコイル駆動の2030年“マイクロ・コミューター”はヒュンダイ先進センター女性デザイナーの提案です。
○ ひとりだけでとびまわりたいスポーツライダーには、韓国デザイナーの”筋斗雲”チョッパーがあります。イラストでは如意棒風を持っていますが、平和な未来、攻撃用ではないでしょう。
さて、日本のメーカー、こういう破天荒、奇想天外、ユーモア企画できないのでしょうか。本田宗一郎社長現役時代のアイデアコンテストは、ホンダ人たちの動く夢の乗り物でしたが….
(山口京一)