オートマしか乗れなくてもレーサーになれる? ZFのレース用8速ATが進化!

ドイツの大手サプライヤー(部品メーカー)のZFが、モータースポーツ向けの新型8速オートマチックトランスミッション「8P45R」を発表しました。

2015-11-10_ZF_Motorsport_Automatgetriebe_8P45R

このモータースポーツ用オートマは、主に4つのプラネタリーギアから構成されるもので、まさしく市販車が使っているステップATと同じ構造となっているのが特徴です。

じつは、すでに2014年から始まっているBMW M235i Racing カップに使用されているマシンにはZF製の8速ステップATが使われていました。しかし、それは市販車向けの「8HP」を改良したもので、ワイドレシオのためにレースでは1~6速までしか使っていなかったといいます。

新開発された「8P45R」は、よりクロスしたギアレシオとなっているため、レーシングの世界で8速を使い切るということです。

量産車のステップATでは、エンジンからの力を伝達する部分にトルクコンバーターを使っていることが多いのですが、新しく生まれた「8P45R」はトルクコンバーターを廃することで軽量化を実現しています。これによりダイレクトさを増していることも期待されます。

BMW M235i Racing カップにATを採用した理由は、それが入門カテゴリーとして設定されたものだからとのこと。

比較的、経験の浅いドライバーであっても、シフトミスをすることなく走行できるATというのは、駆け引きといったレースドライビングに集中できるといいますし、駆動系のダメージを減らすことができるのもメリットといいます。

2014年シーズンからの経験をフィードバックして生み出された「8P45R」は、入門カテゴリーで使われることを考慮した耐久性も持ち合わせたレーシング用8速ATというわけです。

January 2014. BMW Motorsport, BMW M235i Racing. This image is copyright free for editorial use © BMW AG

※車両の画像は、2014年のプログラム開始時にBMWから発表されたもの。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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