さて、自動運転というと、車載のセンサーにより周辺状況を把握して安全に走るという自律走行の面に注目しがちですが、自律走行だけで自動運転社会を目指すのは現実的ではありません。
そこで注目を集めているのがV2V(車々間通信)やV2X(路車間通信ほか)です。
すでにアメリカでは将来的なV2Vの義務化が検討されているといいます。また、ドイツでは自動運転を「オートメイティッド・ドライブ」ではなく、「オートメイティッド・コネクティッド・ドライブ」と表現、”つながる”ことを前提とした自動運転を想定しているようです。
ただし、つながるとなれば、そこからの侵入を防ぐセキュリティの問題も出てきますし、つながらない他車・他者との関係も考慮する必要はあるといいます。二輪車において、ホンダ、BMW、ヤマハの3社による協調型高度道路交通システムといったコネクトする動きはありますが、そのシステムと四輪・自動運転の連携なども考慮されることも期待されます。
前述した先進安全技術でいえば、日本でもバス・トラックのプリクラッシュブレーキ(新車装着)は間もなく義務化となりますし、JNCAPではプリクラッシュブレーキやレーンキープアシストの評価も行なわれ、普及も進んでいます。
ある日突然、自動運転の交通社会になるのではなく、そうして先進安全技術が普及していく中で、その高機能バージョンとして自然と、自動運転へとシフトしていく社会も見えてきます。
2年前の東京モーターショーでは、まだまだ自動運転というのは夢の話でした。しかし、2015年には各社が公道走行のデモンストレーションをするまでに至っています。自動運転の技術進化のスピードは、まさに日進月歩。2年後の東京モーターショーでは、自動運転についての認識や社会的コンセンサスが、大きく変わっているのかもしれません。
そうした期待を感じさせるパネルディスカッション、あっという間の1時間で、自動運転に関するシンポジウムは幕を閉じたのです。
(撮影・文 山本晋也)
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