いまや“スカイアクティブ”と“魂動デザイン”で飛ぶ鳥を落とす勢いの「マツダ」。
その前身は1920年に創設された「東洋コルク工業株式会社」。ワインやシャンパンでお馴染みの文字通り「コルク」を生産していました。
これだけでも、すでにかなり衝撃的な過去……ではありますが、やはりマツダの特徴はそのユニークなパワートレーンではないでしょうか? とくに、はじめて実用化に至ったロータリーエンジンは外せません!!
ロータリーエンジンは、シリンダー内の混合気をピストンで圧縮し燃焼させるレシプロエンジンとは異なり、エキセントリックシャフトと呼ぶ中心軸に三角形のローターを組み合わせたのが特徴。
レシプロエンジンは吸気→圧縮→膨張→排気というサイクルを1気筒内で順々にこなしますが、ロータリーエンジンはローターによって仕切られた3つの空間で一連のサイクルを同時並行でこなします。
その効率性の高さと構造のシンプルさから“夢のエンジン”として注目を集めていたのですが、3つの空間を密閉するためにローターの頂点に取りつけられた「アペックスシール」がローターの内壁に異常摩耗「チャターマーク」を生じさせ、それが実用化の大きな壁となって立ちはだかったのです。
とはいえ、マツダはここで撤退しなかったのです!!
1963年には、アペックスシールの先端近くに十字の孔をあけることで固有振動を抑える形状を考案。さらには日本カーボンが開発した高強度カーボン材「パラグラファイト」がもつ、滑りやすく、接触する側を傷つけにくいという特性はそのままに、アルミニウムを浸透させることで強度を上げたカーボンシールの開発に成功。これにより、ロータリーエンジンの実用化につながりました。
こうした数々の技術革新を経て、1967年にはマツダ初のロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」が誕生。
低く流れるようなスタイリングが特徴の同車は、最高出力は110ps、0-400m加速で16.3秒を達成。軽量かつ高出力というロータリーエンジンの特性をフルに活かし、スポーツカーとしては異例の月間販売台数と国際レースでの活躍を実現しました。
そんな、ロータリーエンジンも「RX-8」を最後に2012年6月に惜しまれつつも一旦販売を終了。
ところが、今年開催された東京モーターショーにて次世代ロータリーエンジンを搭載する「RX-VISION」が登場し、さっそく話題となっています。
国内では一時期下火だったディーゼルエンジンを、世界初の14.0という低圧縮比とNOx後処理なしで各国の排ガス規制をクリアする「SKYACTIV-D」として再び脚光を浴びるまで押し上げた技術力の高さとプライドがあるだけに、期待は高まるばかりです!!
(今 総一郎)