前置きが長くなりましたが、7月21日発表されたゴルフ オールトラックの試乗記を遅まきながらお届けしたいと思います。
フォルクスワーゲンのゴルフ・オールトラックは、ワゴンのヴァリアントをベースに、車高を25mm高めつつ、クローム加飾が施された前後バンパーなどが特徴で、ワゴン派生型のSUVに仕上げられています。
こうしたコンセプトは、スバルのアウトバックや同門ではアウディのオールロードクワトロ、ボルボXC70などがあり、ボルボではさらにV60クロスカントリーを新たに設定しています。
エンジンは1.8Lの直列4気筒ターボで、湿式6速DSGとの組み合わせ。駆動方式は最新世代のハルデックス社製の第5世代ハルデックスカップリングを採用した「4MOTION」、つまりフルタイム4WDのみ。
エンジンの負荷が低いコースティング時などは、前輪だけに駆動力を伝えることで無駄な燃料消費を抑えつつ、状況によってはほぼ100%のトルクを後輪に配分できるのが特徴。
今回はオフロードでの走行はできませんでしたが、ゴルフシリーズに初めて搭載された1.8L TSIエンジンは、高い速度域での高速巡航も余裕でこなしてくれますし、少し背の高いワゴンですからワインディングでのコーナリングも苦手にせず、グイグイとトルクで押し切る感じで登っていきます。
また、ノーマルのヴァリアントよりも若干ですが乗り心地がマイルドな感じも受けました。
ワゴンの車高を上げて悪路走破性を高めつつ、使いやすい広い荷室は背高系SUVほどフロアが高くなりすぎず、荷物の出し入れが楽など使い勝手の面でも優れていますから、347万円〜という競争力のあるゴルフ・オールトラックが人気モデルになっているというのも頷けます。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)