従来型の初代X1は、荷室容量は420〜480Lで、360Lの1シリーズはCセグメントの平均的な容量でした。ほかにもBMWらしく1800mmの全幅と1545mmの全高は、日本の機械式立体駐車場にも収まるサイズで、これも駐車場の制約がある層の選択肢に収まっていたわけです。
さて、2代目にスイッチした新型BMW X1は、全長4455×全幅1820×全高1610mmというサイズ。
全長は30mm短くなったものの、全幅は20mm拡大し、全高は35mm高くなったことで駐車場事情から新型への買い替えを断念する人や、選択肢から外れてしまう人もいるでしょう。
逆にSUVらしい雰囲気が濃厚になったことで新規客も多く呼び込めそうですから、難しいところ。
エンジンは、1シリーズにも搭載されている1.5Lの直列3気筒ターボ(136ps/220Nm)、2.0Lの直列4気筒ターボ(192ps/280Nm)、同じく2.0Lの直列4気筒ターボで231ps/350Nmを誇る高出力仕様も設定されています。
1シリーズやMINIにも積まれている1.5Lの直列3気筒ターボは、音・振動面は4気筒よりもややラフな印象で、トルクとパワー感はまさに「必要十分」という感じですので、燃費だけでなく動力性能も妥協したくない人は2.0Lの直列4気筒ターボ(192ps/280Nm)をチョイスした方がいいかもしれません。
また、2WDモデルの駆動方式は、従来型のFRからFFに変更されています。私が試乗会やディーラー取材などでアクティブツアラーやグランツアラーの評価を聞く限り、「BMWはFRでないとダメ」という声は限定的だと思われます。
居住性では、先代よりも着座位置が前席で36mm、後席で64mm高められたことにより、乗降性を向上するとともに、SUVらしく見晴らしのいい視界を確保。さらに、リヤシートのニールームを最大66mmも拡大したそうですからこちらは朗報です。
積載性も向上。後席は、荷室に設置されたリリース・ボタンを押すだけで「40:20:40」の3分割に倒すことが可能。さらに容量は、先代モデルから85L拡大の505Lを確保し、リヤシートのバックレストをすべて倒すと1550ℓまで拡大します。また、荷室下には100Lのスペースも用意されています。
先代X1は、後席の広さはサイズからすると妥当と思えたものの、後席の座面がフロアから低い位置にあり、いわゆる「ヒール段差」が不足気味で、しかも座面の後傾角が不足気味(つまり水平に近い)なため、身長171cmの筆者にはそこが惜しい点と思っていましたが、大人4人が快適に移動できるはずの新型は、荷室の拡大も後押しし、さらに幅広いユーザー層を獲得できるのではないでしょうか。
ただ、こうした改良をできれば全幅の拡大なしで実現してもらえれば最高でしたが……。
(塚田勝弘)