トヨタの北米での開発・生産子会社である、トヨタモーターエンジニアリング&マニュファクチャリングノースアメリカ(TEMA)がアメリカで出願した2件目の「空飛ぶクルマ」特許の詳細を説明します。
タイトルが「空飛ぶ自動車のための2重チャンネル型翼」とあるUS2015/0232180A1:Nam特許の全体構造をFIG.1に沿って説明すると、エアロカー20の屋根にはプロペラ60,62を備えたチャンネル翼50,52が搭載され、プロペラ60,62は動力システム26の動力で駆動されるようになっています。
このNam特許のほうが1件目のGandhi et al.特許より「空飛ぶクルマ」のイメージに近いのかと思います。
Nam特許のFIG.2からFIG.4に示すように、この特許の要点はプロペラ60,62を備えた翼52をいかに車体に展開可能に装備するかという点です。
片側に2個ずつあるプロペラをヒンジWでチャンネル型に折り畳むことができる翼52が軸W/Sを中心に反転してエアロカーの車体に収納可能になっています。
このNam特許には、FIG.5、FIG.6に示す別の実施例と、FIG.7、FIG.8に示す更に別の実施例が開示されています。
特にFIG.8には、ガスタービン・エンジン100を動力源として搭載した場合を示しています。このガスタービン・エンジンはトヨタが昔から自動車用のエンジンとして研究している動力源なのです。
トヨタが誇る現在のハイブリッド・システムはガソリン・エンジンと電気モータを組み合わせたシステムになっていますが、実は現在のシステムはガスタービン・エンジンを自動車の動力源として使用できないか、という研究・開発から出発しているのです。
これはトヨタS800にガスタービン・エンジンを動力源として使ってみよう、という1960年代の研究から現在のハイブリッド・システムの開発が始まったことが、「トヨタ自動車75年史」に掲載されていることからもよく理解できると思います。
(山内 博/画像出典:米国特許商標局)
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https://clicccar.com/2015/09/23/327593/