京都市に本拠を置く電子部品メーカーのロームは、自動車に搭載されている電子機器間を無線通信で結び、配線であるワイヤーハーネスを削減できる次世代車載通信規格用CXPIトランシーバ(送受信機)IC「BD41000FJ-C」を開発した、と9月24日付けで発表しました。
今回ロームが開発したCXPIトランシーバIC「BD41000FJ-C」は、ステアリングスイッチシステムやエアコンシステム、インパネシステムなどのボディ制御用途で、車体に搭載されているECU(Electronic Control Unit)と各車載電子システム間の無線通信を行うことが可能となっています。
現在、各車載システムとECUとの間は、配線であるワイヤーハーネスで接続されており、車載システムの増加に伴って、ワイヤーハーネスが長大化して、重量の増加、ワイヤーハーネスの取り回しスペースの確保が問題となっていました。
エンジン点火系の電子ノイズなどがある過酷な自動車環境に耐えうる高信頼を実現するには、従来の無線通信技術(LIN)では困難でしたが、今回、パワー系最先端のBiCDMOSプロセスを採用するとともに、アナログ設計技術を活用することで、高ノイズ耐性、低出力ノイズを実現して、過酷な車載環境でも安心して使用することができるようになった、ということです。
この新IC「BD41000FJ-C」は、社団法人自動車技術会(JSAE)が進める日本自動車技術会規格(JASO)の次世代車載通信規格CXPIに業界で初めて準拠するトランシーバICとなります。
自動車のボディ制御用途にECU間で多重通信を行い、ワイヤーハーネスを削減、軽量化することで、自動車の燃費向上に貢献することが期待できます。
また、日本発の次世代車載通信規格CXPIが国際標準化して世界中の自動車に普及することも期待できます。
ロームでは、新ICを2016年2月よりサンプル出荷(500円/個:税抜)して、2016年5月より月産20万個の体制で量産を開始する予定とのことです。
このロームの新ICは、10月7日〜10日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN2015」のロームブースに展示される予定です。
■ローム株式会社
http://www.rohm.co.jp/web/japan/
(山内 博)