●低すぎない高すぎない絶妙な運転姿勢
CX-3の着座位置(地面に対する高さ)はデミオに対して約50mm高く、CX-5に比べると約100mm低い。いうなれば「セダンやコンパクトよりや高いけど、SUVに比べると低い」ものだ。実はこの高さが「腰高感は感じることなくガードレールなどに邪魔されず視界を楽しめる」と開発スタッフがこだわったスイートスポット。運転していても前方の様子がしっかり見え、疲労を低減してくれるんです。
●こだわりのペダル配置
CX-5以降にデビューしたマツダの新型車で徹底的にこだわっているのが、ペダル配置。ポイントはふたつあり、ひとつはドライバーを中心にフットレストとアクセルペダルが左右対称の位置に置かれていること。実はコンパクトカーはもちろん車体の大きなクルマでもアクセルペダルが左側に寄り気味に設計されていることが少なくありません。でもその”偏り”が人体に対して気付かないうちにストレスを与え、運転の疲れに繋がるんです。マツダはそれを嫌って、コンパクトカーにおいても(←ここ重要)左右対称にこだわっているのです。それを実現するために前輪の位置を車体の前寄りにするなど、車体設計段階から配慮されているんですよ。
もうひとつはアクセルペダルの取り付け方法。ほとんどのクルマのアクセルペダルは、上から吊り下げています。でもマツダは、足の動きとペダルの動きがリンクして運転し続けても疲れにくい下を支点としたタイプ、通称「オルガン式」を採用。コンパクトカーでこの方式を採用しているのは、筆者はマツダのほかには「ミニ」しか思い浮かびません。いずれにしろ、足元に徹底的にこだわってコンパクトカーなのにそれを前提にした車体設計をおこなっているメーカーなんてマツダくらいのもんです。
●ディーゼルエンジンはロングクルーズにも最適
ディーゼルエンジンのなにがいいかって、低回転域から太いトルクを出してくれることです。排気量が1.5Lしかないのに……なんて思ってはいけません。最大トルクは270Nmと自然吸気ガソリンエンジンでいえば排気量2.5L以上の水準。それを1600回転という低い領域から出すので、加速時にもアクセルを踏み込む必要がなくて運転が楽なんです。これって長距離移動、とくに高速道路走行においてはとっても大切。
●ヘッドアップディスプレイが親切
「XDツーリング」系のグレードには、「アクディブ・ドライビング・ディスプレイ」と呼ぶ、いわゆるヘッドアップディスプレイが備わっています。これはメーターバイザーの上に透明な板を置き、そこに車速やクルーズコントロールの作動状況を表示するもの。表示はドライバーから約1.5m先に見えるように設計されています。
このディスプレイが、とっても便利。運転中にもっとも多く見るメーターはスピードメーターだと思いますが、いちいちメーターパネルを見なくても済むので視線移動が少なく済むのです。たったそれだけなんですけど、速度を確認するのに視線を大きく動かさなくて済むって想像以上に疲れを軽減してくれるんですよ。表示が1.5m先に見えるように作られたことで、前方との焦点移動の少なさも大きく効いている感じです。そして前方との視線移動が少ないってことは、安全にも繋がるのがいいですね。
●レーダークルーズコントロールが便利
みなさんはクルーズコントロールって使ったことありますか? 高速道路でアクセルを踏み続けなくても速度を一定に保ってくれる仕掛けです。CX-3の「XD Touring」にオプション、「XD Touring L Package」に標準装備されるレーダークルーズコントロールはさらに優れもの。前を走るクルマをレーダーで捕らえ、アクセルやブレーキを踏まなくても(設定速度内で)そのクルマと一定の車間をあけて速度を自動的にコントロールする仕掛けなのです。つまり高速道路では、自分で速度を調整する必要なし。もはや半自動運転みたいなもので、これがあると高速道路移動は本当に楽になるんです。残念ながらCX-3用(というかマツダ車)は低速域では使えませんが、なる早で低速域でも使える仕様になるともっとうれしいですね。
というわけで、1270km走ってわかったCX-3のロングドライブ性能の凄さ。コンパクトカーは長距離走行で疲れる……。たしかに普通はそうなんですが、CX-3は例外なので覚えておいてくださいね。
(映像・写真:前田 惠介 文:工藤貴宏)