「ディスカバリー」や「ランドローバー」はもちろん、高級ラインの「レンジローバー」であっても、ランドローバー部門が生み出すモデルは、イヴォークのような例があるにしても、ある程度SUVらしいスタイリングであることが欠かせないのではないでしょうか。
つまり、ボディ四隅やタイヤの位置が把握しやすく、「コマンドポジション」もしくは、それに近い着座姿勢が得られるデザインやパッケージングであることが求められるような気がします。
しかし、セダンやステーションワゴン、クーペ、カブリオレなどをメインとしてきたジャガーであれば、こうした下地にSUV的な要素を加えたスタイリングとすることにさほど抵抗はないかもしれません。
前置きが長くなりましたが、「C-X17」の市販バージョンに近く、「パフォーマンス・クロスオーバー」を名乗るジャガー初のクロスオーバー「F-PACE」が「ツール・ド・フランス」の第1ステージで披露されました。
ご存じの方も多いと思いますが、この世界最大の自転車レースは、日本にも熱狂的なファンがいるものの、ヨーロッパを中心に世界での知名度は圧倒的に高く、世界中で約20億人以上がテレビやインターネットを通じて観戦したと推測されているそうです。
「F-PACE」は「チームスカイ(Team Sky)」のサポートカーとして登場し、カモフラージュを脱ぎ去った特別なラッピングを纏った姿を披露。さらに、今年9月のフランクフルトモーターショーでワールドプレミアされるそうで、今回はそのデザインの最終段階を示唆しているとのこと。
写真からも分かるように、ルーフには伸縮性のある固定器具を備えた最新のバイク・ラックを搭載。「スペシャル・ビークル・オペレーションズ(エンジニアリングとビークルを担当するチーム)」によって同レースのため設計されたもので、今回チームスカイのピナレロを2台運んだそう。
SUV風のクロスオーバーモデルは、いまや高級車の新しいデザインやコンセプトを具現化する際に使いやすいカタチになっていますが、ポルシェがそうであったように、クロスオーバーモデルでもジャガーらしさを示してくれるか興味深いところです。
(塚田勝弘)