「アウディドライブセレクト」を「コンフォート」にしても出だしからトルクフルで、1.4L TFSIエンジン搭載車で感じられる、低速域の若干の線の細さとはひと味違います。
「コンフォート」モードでも箱根の山を流すには十分ですが、「ダイナミック」に切り替えると背もたれに身体を押しつけられるような圧倒的な加速力を味わえます。ま
とても日本の公道ではアクセル全開にできるようなシーンはなく、コーナーにハイペースで突っ込んでも何事もなかったように旋回してしまいますから、本当に「速すぎる!」し、SUVでこれだけのハイレスポンスな走りが必要なのかも疑問に思えるほど。
RS Q3の足まわりは、アルミニウム製ウィッシュボーンを採用したマクファーソンストラット式サスペンションで、リヤは4リンク式。形式はQ3と同じですが、コイルスプリングとダンパーを別々に配置することで、アジリティ(俊敏性)と安定性を得るために横方向への剛性が高められているそうで、さらにスプリングとダンパーの特性曲線も専用となっています。
もちろんロールはしますが、ロール量はSUVとしては少なめで、コーナーで姿勢は安定したままハイペースを保てるのも圧倒的なパワーフィールとともに大きな魅力。
乗り味は硬質で、最も穏やかな乗り心地を提供してくれるはずの「効率」、「コンフォート」にしても大きな差は感じられず、「ダイナミック」にすると短い周期で突き上げをくらいますが、ボディ剛性感の圧倒的な高さに助けられ、だらしなく上屋が揺れ続けることはありません。
それでもドライバー以外の乗員がいる場合は「コンフォート」にしていても十分に引き締まった乗り味ですから、長時間の「ダイナミック」モードは辛いですし、その必要性も感じさせません。
いずれにしても全天候型のSUVで、あまり大きすぎず、すこぶる速い。そんなSUVはあまりありませんから、パワーアップした新型RS Q3は希有な存在といえます。
■アウディ「RS Q3」画像ギャラリー ─ 340ps/450Nmに増強された超速コンパクトSUV
https://clicccar.com/2015/06/28/314050/
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)